ミリ・ヴァニリ

ミリ・ヴァニリ(Milli Vanilli)は80年代後半から90年代前半にかけて最も人気のあったグループのひとつで、ファースト・アルバム『All Or Nothing』(1988年)は全世界で800万枚以上を売り上げ、4曲のメガヒット=「Girl You Know It's True」、「I'm Gonna Miss You」、「Blame It on the Rain」、「Baby Don't Forget My Number」を生みました。デビュー曲「Girl, You Know It's True」はユニークな宣伝が功を制し、モデルさながらのファッショナブルなルックスも手伝って、クラブ・ダンサーだった2人のフロントマン:ロブ・ピラタス(Rob Pilatus)とファブ・モーヴァン(Fab Morvan)を、一夜にしてポップスターに変身させました。彼らは多くの人びとから絶賛され、憧れられ、祝福されました。1990年2月、グループは第32回グラミー賞において「最優秀新人賞」を受賞しましたが、グループの顔であるロブとファブが実際には歌っていなかったことが世間に明らかになり(実際に歌っていたのは、バック・メンバーだったチャールズ・ショウとブラッド・ハウェルなど数名のシンガーたち)、後にグラミー賞は剥奪されました。

ミリ・ヴァニリは、「Rasputin」などのディスコ・ヒットで知られるボニー・Mやラ・ブーシュ、ノー・マーシーなどのダンスポップ・グループを手がける音楽プロデューサー、フランク・ファリアンによって、ドイツで結成されました。レコーディングなどで実際のシンガーにはブラッド・ハウェル、ジョン・デイヴィス、ジョディ・ロッコ、リンダ・ロッコ、チャールズ・ショウといった複数の実力派ヴォーカルが起用されていました。この騒動は世界的なスキャンダルとなり、グループは分裂し、メンバーは事実上芸能界から追放されました。しばらく経って、実際に歌っていた“影武者”たちがリアル・ミリ・ヴァニリという名前で再デビューしましたが、成功を収めることはありませんでした。

ロブ・ピラタスは1998年にアルコールと薬物の過剰摂取によって32歳で亡くなりました。

ファブ・モーヴァンは現在も芸能活動を続けています。

(2023年10月更新)