21世紀におけるドイツ・リート孤高の旗手、ビッグ・プロジェクトを始動。~シューマン歌曲全集[1]『問い』:12の詩作品35他
21世紀におけるドイツ・リート孤高の旗手、ビッグ・プロジェクトを始動。
シューマン歌曲全集[1]『問い』:12の詩作品35他
クリスティアン・ゲルハーヘル
Schumann – Frage | Christian Gerhaher
■品番 1CD:SICC-30504 ■発売日: 2018年4月24日 ■定価: ¥2,600+税
■特記事項: Bluspec CD2 ■レーベル: Sony Classical
■今やドイツ・リート界での最高峰として揺るぎない地位を確立しているバリトン、クリスティアン・ゲルハーヘル。フィッシャー=ディースカウに連なるドイツ伝統のリート唱法を引き継ぎながら、その詩に秘めた情感や内面性をドラマティックに表現し、成熟した音楽性を聴かせてくれます。美しく明快なドイツ語のディクションによって、一つ一つの単語に込められた作曲家の思いや情景が鮮明に浮かび上がってきます。
■アルテノヴァ・レーベルへの「シューベルト:三大歌曲集」の名盤に始まるゲルハーヘルのリート録音もすでにシューベルト、シューマン、マーラー、ブラームス、ヴォルフなどのドイツ歌曲の主要レパートリーを含んでいますが、このアルバムは、ついにゲルハーヘルが手掛けることとなったビッグ・プロジェクト、「シューマン:歌曲全集」の第1巻となるものです。1人の歌手が中心となっての全集はフィッシャー=ディースカウ以来ほとんど無く、ゲルハーヘル本人も「私の生涯で最も重要なプロジェクト」と言明するほどで、文字通り今回満を持しての録音となっています。ゲルハーヘルは、2000年代に「詩人の恋」「リーダークライス」などが収録された2枚のシューマン歌曲集を発売しており高い評価を得ていますが、今回の全集は、近年のゲルハーヘルの歌唱の深化と更に深い楽譜の読みを反映させた決定的録音。
■第1巻は、ケルナーによる12の詩作品35を中心に構成されています。ゲルハーヘルとは幼なじみで、現代屈指のリード伴奏者であるゲロルト・フーバーとの共演は、ぴったり息が合いシューマンの作品に込められた深遠さを明らかにしてくれる充実の全集となるはずです。なお、今回の全集は、ソニー・クラシカル、バイエルン放送、ハイデルベルクの春音楽祭国際リーダーセンターとの共同制作で、2019年には第2巻「ミルテ」が予定され、2020年には10枚組のボックスセットとしてリリースされる予定です。
■2019年秋発売予定 シューマン歌曲全集[2]『ミルテ』:歌曲集「ミルテの花」作品25(全曲)
■舩木篤也氏による全曲新訳による規歌詞対訳付き
■2018年9月、ミュンヘンにおける「シューマン:歌曲全集」録音プロジェクト記者発表の模様(バイエルン放送サイト、音声のみ、ドイツ語)
https://www.br-klassik.de/audio/christian-gerhaher-und-gerold-huber-das-schumann-lied-projekt-100.html
ゲルハーヘルがいまここに加えようとしている、もう一つの、すなわちレコーディング史上3つ目のシューマン歌曲全集を、彼自身は「生涯で最も重要になるだろう仕事」と呼んでいるが、それはたんに、シューマニアーナーとして個人的な夢を果たそうとするものではない。そもそも、フィッシャー=ディースカウ盤は、厳密にみれば「全集」ではなかった。少なからぬ曲集が、抜粋に留まっているのだ。その意味で、ゲルハーヘル盤には、これまで一つしかなかったドイツ発の全集を補完するという意味合いがあるだろう。いっぽうのグラハム・ジョンソン盤は、たしかに全作品を収めているのだが、作品を書かれた順に並べることに眼目があった。これはこれで有意義なことであるが、シューマン歌曲が持つ「ツィクルス性」にじゅうぶん光が当たらない――ゲルハーヘルはそう指摘し、もう一つの全集の存在理由を主張するのである。(舩木篤也、ライナーノーツより)
【収録曲】
シューマン
6つの歌 作品107
1 心の傷
2 窓ガラス
3 庭師
4 糸をつむぐ女
5 森の中で
6 夕べの歌
ロマンスとバラード 第2集 作品49
7 二人の擲弾兵
8 敵対する兄弟
9 尼僧
10 警告 作品119-2
3つの歌 作品83
11 あきらめ
12 献身の花
13 隠者
12の詩 作品35
14 楽しき嵐の夜
15 愛も喜びも滅するがよい
16 さすらいの歌
17 新緑
18 森の方を焦がれて
19 亡き友にの盃に寄せて
20 さすらい
21 秘めたる恋
22 問い
23 人知れぬ涙
24 おまえを傷つけたのは誰か
25 懐かしい響き
4つの歌 作品142
26 歌のなぐさめ
27 きみの頬を当てて
28 少女の憂い
29 ゆるやかに走る僕の馬車
クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン)
ゲロルト・フーバー(ピアノ)
[録音]2017年1月31日、2月1日、2日、16~18日、ミュンヘン、バイエルン放送第2スタジオ
[バイエルン放送、「ハイデルベルクの春」国際リートセンターとの共同制作] [エグゼクティヴ・プロデューサー]ファルク・ヘフナー、ミヒャエル・シェテリヒ [レコーディング・プロデューサー&エディテイング]ミヒャエラ・ヴィースベック [レコーディング・エンジニア]ゲルハルト・ヴィホー、ヴィンフリート・メスナー [ピアノ調律]ヴィンツェンツ・シュスター