スーザン・ボイルの最新インタビュー公開!
いよいよ、5月31日にアルバム「テン」のリリースを控えたスーザン・ボイルですが、最新インタビューが到着しました。
あの衝撃的なデビューから10年経っても、地に足のついた謙虚なお人柄、そしてスターなのに今もいい意味で「その辺のおばちゃん」な気さくさ、さらにあの美声。本当に魅力的な人だということがインタビューからも十分にうかがえる内容となっています。
大変読み応えのあるインタビューですが、じっくりとお楽しみください。
スーザン・ボイル デビュー10周年記念インタビュー
スーザン、おめでとうございます。初めてのオーディションが2009年に放映されてから10年ですよ。
ありがとう。信じられる?10年よ?本当にあっという間だったわ。今でも、今でもやっていることが信じられなくて自分をつねらずにはいられないわ。
ご自身は10年経ったことを信じられますか。
まったく信じられないわ。10年が一瞬のうちに過ぎ去ってしまったんですもの。自分が歳を取って、歳を重ねるとともに1年が過ぎるのが速くなったからこんなに速く過ぎ去ったのかは分からないけど、正直言って『ブリテンズ・ゴット・タレント』のオーディションが私の世界を変えてから10年経ったこと、そして10年経って今もアルバムを作っていることが信じられないのよ。今でも音楽業界にキャリアがあるなんて、夢の夢にも思ったことがなかったもの。
10周年を記念して何をしますか?
すべてが始まったところに戻るのよ!『ブリテンズ・ゴット・タレント』のステージ。10周年を記念して、すべての始まりになった「夢やぶれて」を歌うの。今度の土曜日(4月13日)にはぜひ『ブリテンズ・ゴット・タレント』を見てね。
『ブリテンズ・ゴット・タレント』のステージに戻ると。
ええ。素晴らしかったわ!家族と過ごすために家に帰るようなものよ。収録は1月にパラディアムで行ったから、ほとんど2009年の鏡写しみたいな感じだったの。ただ、最初のオーディションよりも落ち着いていたし、あの時より多分少しだけプロフェッショナルだったし、撮影はロンドンだったけどね。でも10年も経つとどうすればいいか分かるのよ。というか、分かっていることを願うわ。ボスのサイモン(・コーウェル)、アントとデック、そして勿論アマンダ(・ホールデン)にも会えて最高だったわ。本当に素晴らしい経験だったのよ。それに勿論、2009年のときみたいなプレッシャーもなかったしね。
審査員たちの前で再び歌うのはどんな気分でしたか。
いつもの顔ぶれを見て、デヴィッド(・ウォリアムス)とアリーシャ(・ディクソン)もいる前で歌うのは最高だったわ。前回は審査員にピアーシーちゃん(注:ピアース・モーガンのこと)がいたのよね。そもそもオーディションに行った理由のひとつは、ピアースが何だスペシャルだと思ったからなのよ!会場はロンドンのパラディアムだったの。すごく象徴的な会場よね。あそこで歌う機会のオファーは絶対に断らないし、『ブリテンズ・ゴット・タレント』にまた出演してサポートする機会もぜったい断らないわ。
あなたが『BGTチャンピオンズ』に出演すると各紙で報道されていますが。
そう、確かに私も記事を読んだけど、やっぱりオファーを待つのがマナーよね!勿論、もし打診されたら絶対に検討するわ。それに、コンペティションを愛さない人はいないでしょう?私には競争心があるし、去年収録した『AGTチャンピオンズ』もとても楽しかったわ。それにひょっとしたら3度目の正直って言うし、私が優勝するかも知れないしね!
すべての始まりになった10年前に話を戻して…そもそも『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出場しようとしたのはどうしてだったのでしょうか。
2009年に『ブリテンズ・ゴット・タレント』出場を決心したのは、亡くなった母に敬意を表してのものだったの。母はいつも、私がひとかどの人間になって、歌声を活かしなさいと言っていたのよ。それで、グラスゴーで『ブリテンズ・ゴット・タレント』のオーディションがあると知って、挑戦してみようと思ったの。番組の審査員だったピアース・モーガンという男性にちょっと憧れていたからというのもあったわ。
あなたにとってオーディションはどんな感じでしたか。
オーディションを振り返ると赤面してしまうわ。あの頃はとても青かったからね。当日のことは一生忘れないわ!そうね、現地に到着するまでに延々と時間がかかって、バスを何度も乗り継いだの。到着したときは暗闇の中で着替えたんじゃないかっていでたちだったわ!実際にステージに出て歌うまでにも随分長い間待たないといけなかったの。やっと自分の出番になったときはものすごく緊張していたけど、緊張感を表に出したくなかったから、ステージで足踏みをしたのよ。正直言って優雅とはほど遠かったけど何とか楽しもうとして、スーザン・ボイル流のくねくねポーズまで取ったのよ!みんな私のことを笑っていたわ。クレイジーな髪の毛をして、選択を誤った服装のこのふざけた女は誰なんだと思っていたの。誰も期待なんて一切していなかった。みんなジョークだって思ったのよ。…そこに私が歌い始めたの。
あの曲をオーディションに選んだ理由は何だったのでしょうか。
「夢やぶれて」を歌ったのは、プロの歌手になりたいという夢にすごくふさわしい気がしたからなの。当時は人生の中で決して素晴らしい状態ではなかったから、曲に自分を重ね合わせていたのよ。誰にでも夢があるわ。そして私の夢は確かに叶っただけじゃなく、それ以上になったのよ!
歌い終わってからの反応にはどう思いましたか。
信じられなかったわ!みんな私を鼻で笑っていたのが、ほんの2、3分で、拍手喝采でスタンディング・オベーションをしてくれるまでになったんですもの!確か口をポカンと開けたままのオーディエンスが2、3人いたと思うわ。審査員たちがみんな優しいコメントをしてくれて、ものすごい達成感と誇りを感じたの。オーディションを受けたなんて誰にも言っていなかったけど、テレビで放映されたときにはみんなに知られたわ。
以前も色んな番組のオーディションを受けたことがあったけど、何の結果も出せていなかったの。この出来事があってああいう反応があって、クリスマスが一生分来たような気分になったわ。両親のことを考えて、母がどれだけ誇りに思ってくれるだろうと思ったら嬉しくて泣けてきたのよ。
オーディションの様子は一夜のうちに拡散されました。あなたにとってはどんな感じでしたか。
そうね、完全に度肝を抜かれたわ。あんな反応があるなんて考えたこともなかったけど、他の誰だって考えたことがなかったのよね。当時はネットをやっていなくてパソコンも持っていなかったからYouTubeが何かなんて知らなかったし、ソーシャル・メディアも初期段階だったけど、突然あの映像が山火事みたいに世界中に広まって、メディアがみんなうちに来るようになったのよ。実はね、みんなアシュトン・カッチャーのおかげなの。私のオーディションについてツイートしたのは彼だったのよ。みんな彼をフォローしていたから、それを転送した(リツイートした)のよ。一夜にして私を有名にしてくれたアシュトンに感謝しているわ。それから、ソーシャル・メディアとYouTubeの力にも。
当時直面した中で一番大変だった経験は何でしたか。
一夜にして有名になったこと。あまりに瞬間的だったから困難もついてきたのよ。突然やることなすこと注目されてこき下ろされるようになったし、かなり息が詰まる思いだったわ。まるで自分が見世物小屋に出演しているみたいな。傷ついたし、その状態を受け容れるのは本当に大変なことだったわ。
『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出る前はどんな人生を送っていたのでしょうか。
『ブリテンズ・ゴット・タレント』以前の人生はものすごく辛かったわ。年老いた母を独りで介護していたし、お金もものすごくかつかつで、請求書の支払いや食べ物を買うのも大変だった。すこぶるみすぼらしい存在だったし、いつも自分が外から世の中を覗いているアウトサイダーみたいな気がしていたの。
この出来事を経て人生が激変することを予測していましたか。
全然!人生がこんなに変わるなんて、夢の夢にも思ったことがなかったわ。でも、家での生活は以前ととても似たままにしてきたのよ。今も古い実家に住んでいるし、今もバスに乗ってスーパーに食べ物を買いに行くのが好きなの。浪費家ではないしね。47年間お金が全然なかったから、いざというときのために蓄えておきたいのよ。キャリアについては、こんなに成功するなんて、こんなにアルバムが売れるなんて、公演で世界中を旅することになるなんて思いもよらなかった。今も信じるには自分をつねらないといけないわ。本当にラッキーだし、自分がどれだけ恵まれているか、毎日神様に感謝しているのよ。
「夢やぶれて」は今もあなたにとって特別な意味を持つものでしょうか。
「夢やぶれて」は私の心の中でいつまでも特別な場所にあるわ。一夜にして人生を変えてくれた曲ですもの。かなり文字通りにね!ひとかどの人間になると母親に約束したスコットランドの孤独で無名な女性から、その約束を果たしてせるようになることを願って歌のキャリアを夢ながら『ブリテンズ・ゴット・タレント』のステージに立って、それからYouTubeとアシュトン・カッチャーのツイートがあって、一夜のうちに人生が好転したのよ!以前はハッピーじゃなかったけど、この曲が何もかも覆してくれたのよ。
『ブリテンズ・ゴット・タレント』後最大の変化は何でしたか。
最大の変化はやっぱり一瞬にして得た名声ね。スコットランドで猫を飼っている何てことない無名の女性から、どこに行っても気づかれるようになるなんて。それには相当慣れが必要だったわ。オーディションの映像がどれだけ拡散したかなんて全然把握できなかったもの!パソコンは得意じゃないし、10年近く経った今もパソコンは得意じゃないから、ツイッターにもYouTubeにも、それからアシュトン・カッチャーがツイートして起こったすべてのことにも度肝を抜かれたの。
ファイナルでダイヴァーシティが優勝したと知ったとき最初に何を考えましたか。
正直言ってパニック状態だったわ。昔の生活には戻りたくなかったから。そうしたらサイモンがステージに駆け上がってきて、何があってもレコード会社と契約するって耳元で囁いてくれたの。そうしたらパニックが疲弊に変わったわ。すごく疲れていたし、ベストを尽くそうとはしていたけど、ベストを尽くせなかったらどうしようとか、パフォーマンスをしくじってしまったらどうしようという思いに完全に圧倒されてしまって、眠ったりリラックスしたりできなくなってしまったの。すべてがあまりに目まぐるしかったし、そうね、私がその後どうなったかはみなさん語存知だけど、10年経った今も話したくないわ。でもサイモンの言葉は本当に大きな安心を与えてくれたし、あのときそれが私にとってどれほど大きな意味を持っていたかは彼には決して分からないと思う。と言いつつ、あの夜は最高の人たちが勝ったのよ。ダイヴァーシティは素晴らしいグループだったし、2位になることも何ら悪いことじゃないって証明できたと思うわ!
『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出場したことを一瞬でも後悔したことはありましたか。
そうね…無名の存在から誰でも知っている名前になったけど、それが自分にふさわしいことかは分からないわ。
正直にならないと。自分の人生がどれほど変わることになろうとは本当に分かっていなかったのよ。でも『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出場したことは決して後悔しないわ。人生が荒天したし、素晴らしい機会を本当にたくさん与えてくれたもの。『ブリテンズ・ゴット・タレント』という番組に出ることを後悔する人なんているかしら?誰もいないでしょう。
サイモン・コーウェルの最初の反応について、今はどう思われますか。
あれはあの時のことだから。サイモンは自分の振る舞いについてあれから何度も謝ってくれたと思うし、彼は単に会場の全員と同じ反応だっただけ。いわゆる「表紙で本の中身を判断する」状態だったのね。サイモンはこの10年間最高に素晴らしいボスでありサポーターでいてくれたし、彼が与えてくれた機会に心から感謝しているのよ。
『ブリテンズ・ゴット・タレント』での好きな思い出は何でしたか。
『ブリテンズ・ゴット・タレント』での好きな思い出は、オーディションでみんなを驚かせたことかしら。みんな私のことを笑っていたし、私がジョークだって思っていることが見て取れたもの。そこに私が「夢やぶれて」を歌ったらすべてが変わったの。表紙で本の中身を判断するなんて絶対にダメ!
今度はこの10年間を振り返ってみましょう。…この10年で一番好きな思い出は何でしょう?
この10年間の懐かしい思い出は本当にたくさんあるわ。ひとつひとつが私にとって本当に特別な意味を持っているの。ダニー・オズモンド。子供時代の憧れの人とレコーディングして、ラスベガスで共演したこと、あれは素晴らしかったわ!2009年に初めてLAに行って『アメリカズ・ゴット・タレント』に出演したとき。空港を出るだけでも信じられない体験だったわ。フォトグラファーやマスコミの人が本当にたくさんいて、なかなかすごい光景だったのよ!ツアーバスでアメリカを横断して、その道中に素晴らしい人々の前でパフォーマンスをして、彼らに出会うこともできたこと。『ザ・ビュー』のような素晴らしいテレビ番組で歌ったり、ウーピー・ゴールドバーグのようなアイコンに出会ったりする幸運に恵まれたこと。とにかくありすぎてリストにならないわ!人生最高の10年間だったわ!
即答してください。この10年間で最高だった10の出来事は何でしょうか?
- 女王様の前で歌ったこと
- ダニー・オズモンド
- ローマ教皇の前で歌ったこと
- 日本とオーストラリアに行ったこと。また行きたいと願っています。
- 『チャイナズ・ゴット・タレント』。5億人が視聴していたなんて聞いていなかったわ!
- LA。初めての旅!『アメリカズ・ゴット・タレント』に出演したこと、ディズニーランドに行ってスプラッシュ・マウンテンを経験したこと。落下したときは…女性らしい言葉なんかじゃ表現できないものを浴びせられたわよ!(笑)
- 『アメリカズ・ゴット・タレント:ザ・チャンピオンズ』
- ツアーに出たこと
- エルヴィスとレコーディングしたこと。健康そうな死体とね(爆笑)
- サイモン・コーウェルというボスがいること
そして10年経った今、新しいアルバム『TEN』が5月31日にリリースされます。このアルバムの背景となったインスピレーションとは?
このアルバムはこの10年間の私のキャリアを記念して、そしてこれまで未発表だった4曲を加えての回想という意味合いがとても強いの。その4曲については意図的にファンのサプライズにしておきたかったのよ。もう人生においてサプライズなんてほとんど残っていないから、これらをサプライズとして残しておくというのが重要だったわ。『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出た10年前に世界をサプライズさせたから、またみんなをサプライズさせようと想って。素晴らしいアルバムであり、新曲も大好きよ!秘密にしておくのはみなさんが想像するより難しいことなんだから!
新作『TEN』の選曲プロセスにfはどのようにアプローチしましたか。
このアルバムは絶対に10周年のお祝いにすべきだってことは分かっていたの。2009年当時、10周年を祝えることになるなんて夢の夢にも思わなかったから。それで、この10年間にファンのお気に入りだった曲を検討して、それらを取り込むことにしたの。単なる「グレイテスト・ヒッツ」タイプのアルバムを出すのは嫌だったし、ファンにはいつも何かしら新しくてサプライズになるものをあげたいと思うから。それで新曲を4つ入れて、それらをサプライズとしてとっておくことにしたの。曲選びはとてもノスタルジックなプロセスだったわ。どの曲にも大切な想い出があって、その曲を初めて歌ったときに自分がどこにいたか思い出すことができるのよ。「ワイルド・ホース」あれは2009年9月に遡るのだけど、アメリカで初めて歌った曲だったわ。『アメリカズ・ゴット・タレント』でね。生まれて初めての長旅で、ホテル・ベル・エアに泊まったの。プールサイドで朝ご飯を食べていたときは辺りではハチドリがブンブンと飛び回っていたわ。そして初めてディズニーランドにも行ったの。映画のセットに踏み立ったかのような気分になったわ。それほど非日常だったのよ。「パーフェクト・デイ」あの曲はスコットランドでミュージック・ビデオを撮ったのだけど、一日中土砂降りで全身ずぶ濡れになったわ。私の替え玉もいたのよ。別にエネルギッシュなスタントをやった訳じゃないのにね!
どの曲も、ファンのお気に入りであるという事実とあいまって、私の心にも響いているわ。素晴らしい想い出があるのよ。
またスタジオに戻ることは楽しかったですか。
スタジオに戻るのはいつも素晴らしいことよ。私の隠れ家であり、安全な場所だって10年間言い続けてきたんだけど、今も同じ。あるのは自分と自分の音楽だけ。スタジオにいるのは大好きよ。
『TEN』の楽曲の中で個人的なお気に入りはどれですか。またその理由は?
そうね、それは親にお気に入りの子はどの子ですかって訊くようなものよ。ただの冗談よ!(笑)「夢やぶれて」にはいつまでも特別な愛情を持ち続けるわ。この素晴らしい10年が始まったのもあの曲がきっかけだしね。大好きな、特別な新曲もいくつかあるわ。
新作『TEN』はあなたにとって何を意味しますか。5月に発売されたらどんなことが一番楽しみでしょうか?
新作『TEN』には本当に大きな思い入れがあるわ。私がものすごく、ものすごく感謝していて幸運だと思っている音楽業界での10年間を代表するものという以外に、自分のお気に入りの曲を振り返るものでもあり、今もサプライズにとってある4つの新曲がフィーチャーされているもの!10年前にみなさんを驚かせたのだから、今年もみなさんにちょっとしたサプライズを贈ろうじゃない!
10年間というのはマイルストーン。このアルバムはタフな業界で10年やって来られたことを祝うものなの。このアルバムを出すことにワクワクしているし、誇りに思うわ。
今年初め、今年はカムバックの年の気がすると言っていましたね。
1年半活動を休止していた後だし、確かにカムバックの年のような気がするわ。2019年は私にとって『アメリカズ・ゴット・タレント:チャンピオンズ』で幸先良く始まって、人々が今も私の歌に興味をあるということが本当に素敵だったわ。そして新作の『TEN』は5月31日に出るし、テレビの特番もあるし、記念コンサートや小さなツアーも計画されているから、自分の愛するキャリアにまた戻れるというのは本当に最高の気分よ。
アーティストとして「やりたいことリスト」の筆頭にあるのはどんなことでしょうか。
やりたいことは本当にたくさんあるわ。またツアーしたい。2、3日前にアメリカでツアーして、本当に楽しかったしね。これからもアルバムを作り続けて、自分の音楽で人々をハッピーにしていきたいわ。それが私にとって一番大切なこと。ファンがハッピーで私のアルバムを楽しんでくれれば私はハッピーなの。やっぱり彼らなしに今の自分の立場はないから。
誰かと夢のデュエットを録音するとして、音楽業界での夢のデュエット・パートナーは誰ですか。
ぜひ共演してみたいのはエルトン・ジョンやロッド・スチュワート。ロッドには地元のサッカー・クラブ、セルティック(ふたりとも大ファンなの)で何度か会ったことがあるけど、素晴らしい人よ。一緒にいるととても楽しいの。
レディー・ガガ。彼女とぜひ共演してみたいわ。本当にインスピレーションをくれる女性だし、あれだけの成功も当然のことだと思う。それに素晴らしい女優でもあるわよね。
あなたとあなたのキャリアのインスピレーションになっているのは?
サイモン・コーウェルは私のキャリアで最大のインスピレーション。10年近くボスでいてくれて、彼に誇りに思ってもらえるために頑張っているわ。完璧を志し続けるためのインスピレーションをくれるのよ。
サイモン・コーウェルはあなたのキャリア上大きなメンターですね。彼との関係はどんな感じでしょうか。
この10年、サイモンは素晴らしい存在でいてくれているわ。私のメンターであり、私のボスであり、私がものすごく尊敬している人なの。すごい人だし、素晴らしい父親だし、あと、裏表のないところが好きね。歯に衣を着せない人だけど、彼が見ている自分の状態というのがはっきり解るのよ。そうね、世の中もっとたくさんの人があああるべきだと思うわ。彼には尊敬と感謝しかないの。私がずっと夢見ていたキャリアを与えてくれたし、私の最大のサポーターであり擁護者でいてくれるから。
今度はみんなが興味を持っている質問をいくつか。
人々があなたに気づいたとき、何と言われますか。あなたの反応は?
ファンに会うのは大好きよ!この仕事のいわゆる特典のひとつよね。彼らは本当に最高だし、今でも私の出た『ブリテンズ・ゴット・タレント』のオーディション(注:原文はauctionとなっていますが、auditionのことだと思います)映像を何年も今でも見ているとよく言われるわ。そしてどうして見ているかも。写真も頼まれたりするの。素晴らしいことだし、人々とおしゃべりしたり会ったりするのを心から楽しんでいるわ。子供から80代の人まで、あらゆる年代の人がいるのよ!
生まれてからずっと外から世の中を覗いているアウトサイダー気分だったのがその一員になれたって2009年当時に話していたけど、今もそれは変わらないわ。
ファンと会えることを楽しんでいますか。
ええ。もう独りぼっちだなんていわなくていいし、愛されていないなんて言えないわ。そうじゃないから。
ファンとの出会いについてお気に入りの想い出はどんなものでしたか。
本当たくさんあるし、すべてが特別なものよ。日本ではプロポーズされたし、今までインスピレーションを与えてくれた人たちに出会ったし、フロリダで出会ったお医者さんとデートに行ったこともあるし…みんな素晴らしい出会いだったわ。それに私のファンは最高に気前がよくて、プレゼントで甘やかしてくれるのよ。
この10年間支えてくれたファンに向けて言いたいことは?
この10年間支えてくれて本当にありがとう。みなさんのおかげで私は今もこうしていられて、歌というすばらしいキャリアを持つことができています。みなさんに伝えたいのは、このおばさんの人生はまだまだこれからだということ。これからの10年が楽しみよ!
あなたを一番ハッピーにしてくれるものは何でしょう?
オーディエンスの前でステージに立って歌うというのは私をものすごくハッピーにしてくれるわ。ステージ上では自分だけの小さな隠れ家にいるような感じでストーリーを伝えているの。私にとって本当にハッピーな場所よ。オーディエンスをハッピーにすることで大きな喜びを得るのよ。私のキャリアはお金を稼ぐことが目的だったことは一度もないし、チャートのポジションですらなかったの。とにかくステージに立って歌っているのが大好きなのよ。
あなたが常に地に足をつけていられる理由は。
私には素晴らしいチームがついてくれているの。ジェラルディン、クリス、ニック。常に地に足をつけていられるのは彼らのおかげだわ。一緒にいて本当に楽しいの。愉快なことも冒険もあるわ。友だちも地に足につけさせ続けてくれているの。ディーヴァ(わがまま女王様)になりたいなんて思ったこともないし、いい人たちに囲まれていることが、そうならないって保証してくれると思う。今も自分が育った家に住んでいるし、自分だけのために大きな豪邸なんて必要ないわ。スーパーまでバスか歩きで行って、夕ご飯に何を食べるか決めるのが今も好きなの。ハイプ(大げさで刺激的な宣伝)を信じないことがすべてだと思うわ。私は今も私。10年近く前に『ブリテンズ・ゴット・タレント』のオーディション・ステージを踏んだ名もない女性のままなのよ。ラッキーなことに世界を旅して素晴らしい場所で歌うことができたけど、家に帰ればまた私個人に戻ることができるのよ。両方の世界のいいとこどりができているわ!
名声と、それにまつわるあらゆるプレッシャーとはどのように付き合っていますか。瞑想やヨガ、またはリラックス状態を保つために通常「勧められている」活動をしていますか。
名声との付き合い方は以前よりずっとうまくなったわ。私の周りには小さなチームと、パーソナル・アシスタントと、ヴォーカル・コーチと、マスコミ対応だけどころか本当にたくさんのことをしてくれるパブリシストがいてくれて、みんなで楽しんでいるの。状況を楽しむことがこの仕事の鍵ね。2009年、『ブリテンズ・ゴット・タレント』のビデオの件が一夜のうちに起こって、突然追いかけられているような気がして、新聞にひどい見出しでかかれたり意地悪なコメントを書かれたりしたけど、最後に笑ったのは私だったわ。10年経った今、8作目のアルバム『TEN』をリリースしようとしているんですもの。テレビ特番や、今年後半にツアーをするという話も出ているの。だから、キャリアを続けていくことができるなんてとても幸運なことよ。
無名でいることが恋しくなることはありますか。名声を得ることで圧倒されてしまったことはどんな部分でしょうか。
時々ね。でも、そういうときは自分にちょっと語りかけて、自分にはファンや私に話しかけたいと思ってくれる人たちがいる立場にいるという幸運の星に感謝するのよ。世の中には私の立場にぜひなりたいと思っている才能あるシンガーが山ほどいるから、それを忘れてしまうというのはいささか感謝知らずということになってしまうもの。私はラッキーよ。私だって気づく人たちは…まぁ、それも仕事のうちだから。勿論ベストな格好をしていないときや、どちらかというと独りにしてほしい場所だったりするときもあるけど、その人たちが実際に挨拶に来てくれることに感謝しているわ。…やっぱり、私の成功や息長くいられていることはみんなファンのおかげだから。
この10年のご自分が達成してきたことを理解していますか。
そうね、この10年で既にかなりたくさんのことを達成してきたけれど、私にとって大切なのは歌うこと、そして自分の音楽で人をハッピーにすることがすべてなの。数字はパブリシストが教えてくれたんだけど、私はこの10年間ものすごくラッキーで、アルバムを2,300万枚以上売り上げて、アルバムのストリーミングは2億2,700万回以上、アルバムが38ヶ国で120回以上プラチナやゴールドに認定されて、グラミー賞に2回ノミネートされて、子供時代のアイドルと共演して、素晴らしい人々に出会うことができたわ。正直言ってこれらの数字にはびっくりするけれど、今のところたくさんのことを達成できているし、この先何年も続けていきたいと願っているわ!
ご自分がスターだという意識はありますか。
いや、自分がスターだなんて思わないわ。私はただの私、スーザン・ボイルよ。
テクノロジーが音楽業界を変えたことについてはどう感じていますか。
正直なところ、今もまったくきちんと理解できていないの。パソコンにはあまり詳しくなくて。自分の曲が2億2,700万回ストリーミングされたことは分かっていて、そういう数字を教えてもらうけれど、言葉を失ってしまうわ。思うに、何が起こったかというと、今はあまりに何もかも手に入るようになってしまって、何もかもすぐ聞くことができるからもう何のサプライズもないんじゃないかしら。だからこそ新曲をサプライズにしておきたいと思ったの。楽しみにできるものを持ちましょうよということで。古きよき時代のレコードやCDが恋しいわ。リリース日にレコード店に行ってそれを買うことも。初めて自分のレコード・プレイヤーを持ったのは子供の頃で、アナログ盤にはなにかしら魔法のような魅力があったものだったわ。そこにCDが出現して、音楽だけでなくてブックレットや写真、歌詞、サンキュー(・クレジット)があって…ブックレットを読みながらとてつもなく長い時間を過ごしていたものよ。新しいCDを買うことの特別な一部分だったの。っていよいよ歳がばれるわよね!(笑)
シンガーを夢見ている若者たちにはどんなアドバイスをされますか。
絶対に諦めちゃダメ!何歳かだなんて本当に関係ないのよ。とにかく夢を追求し続けて。私にできるなら、あなたにもできるわ!
実際に歌う機会を得たら、一瞬一瞬を楽しんで。感謝して、謙虚になって、一生懸命やるの。ディーヴァが好きな人なんていないから!…常によりよい自分自身やパフォーマンスを見据えて、周りにイエスマンを置かないこと。私がとてもラッキーなのは、ものすごく率直でノーということを恐れないチームがいてくれることなのよ!それが好きじゃないと思うことも時にはあるけど、いつも私のベストな意図を考えてくれている、それが一番大切なことなの。何よりも、一瞬一瞬を、そして自分に与えられるひとつひとつの機会を楽しむことね。
この10年をバックミラーに映して振り返るとしたら、何が見えるでしょうか?
人生の初めの47年間、傍観者として世の中を覗き込んでいる女性が見えるわ。今は世の中の大きな一部になっているし、それを楽しんでいるのよ。
「成功」という言葉はスーザン・ボイルにとってどのような意味を持つものでしょうか。
私にとっての成功は、人々をハッピーにすること。それを自分の音楽を通じてすることができれば、私の辞書ではそれが成功を意味するわ。
またもや即答してください。この10年間で最もおかしな出来事を10挙げてください。
- 大きなパンツ!ニューヨークからLAに向かう間にスーツケースがなくなってしまって、気の毒なパブリシストはLAX(ロサンゼルス国際空港)でスーツケースをずっと待っていたのだけど、11時にお店に行かないといけなかったの。そうしたら、アメリカとイギリスではサイズの定義が違うってことを忘れてしまったのよ!ボートの帆になるんじゃないかってくらい大きな下着だったわ!巨大なパンツを穿いて、笑いすぎて泣いている私たちの写真があるわよ!
- 2009年のスプラッシュ・マウンテン
- ダニー・オズモンドに、私とのツーショットの写真をプリントした毛布をあげたこと!
- ラスベガスの空港。ベガスで起こったことはベガスに定着するのね。
- ツアーバスや、テーマを決めて楽しんだ夜!
- このリストに載せちゃいけないことも多分結構あるわね。
- パブリシストに初めて会ったとき、起き抜けじゃないのって彼女に言ったこと。彼女との関係はこの6月で10年になるけど、今も思い出して一緒に笑っているわ。
- 最初の頃家の外にセキュリティがいる必要があったの。そういう状態は本当は楽しくなかったから、彼らを油断させたまま楽しめるようなちょっとしたゲームを考案したの。彼らに見られないように彼らの前を通り過ぎて、彼ら抜きで1日を過ごすのよ!ステルス(お忍び)・スーザン!
- パーティ・イン・ザ・パーク(注:毎夏全英各地で行われるチャリティ・コンサート)のステージでナイル・ロジャースと踊っていたときに、ズボンが裂けてしまったこと。
- 私は悪ふざけが大好きなの。
人々があなたについて知らない10のこと
- 私は人のものまねがうまいのよ!
- 私はヘンでいたずら好きなユーモアのセンスがあるの。
- 私は初対面の人に対してとても人見知り。
- やっとピアノが弾けるようになったのよ!
- いびきをかきます。
- コンサートに行って懐かしいダンスを踊るのが大好き。ライヴ・ミュージックがお気に入りよ。
- 58歳で車の仮免を取ったわ!スコットランドのみなさん、気をつけて。私が行くわよ!
- 私の歯は全部が自分の歯って訳じゃないのよ!
- 最近キッチンとバスルームを新調したの。奮発することにしたのよ!
- 新しいオーブンの使い方がいまだに分からないの!
そして最後に…10年前のあなたは「夢やぶれた」状態にいましたが、今のスーザン・ボイルの夢は何ですか。
このアルバムが成功することを夢見るわ。人々がこれからも私の音楽を楽しんでくれること、そしてもう10年こうしてやっていけることも!ごめんねサイモン。またあなたの白髪が少し増えることになるわね!(笑)
(訳:安江幸子)