ラヒーム・デヴォーン
ニュー・ジャージー州出身、ワシントンDCで育ったラヒームの父親はジャズ・アーティスト(チェロ奏者)のアヴドゥル・ワダッド。その父親や音楽好きだった母親の影響もあり常に音楽に囲まれた環境で育つ。メリーランド州で高校を卒業した後、大学に進学したラヒームは入学早々授業そっちのけで作曲とレコーディングに明け暮れる日々を送るようになる。この頃から本格的にローカル・アーティストとして活動も開始、音楽集団=Urban Ave 31を結成、インディーからアルバム、ミックス・テープ等を多数発表。02年頃からはDJジャジー・ジェフといった大物プロデューサー達と仕事をする機会を得て(2002年発表のジャジーの名盤『The Magnificent』に参加)、業界内でラヒームの名が広がるきっかけとなった。03年、念願のメジャー・デビュー契約をJIVEと結び、デビュー前哨戦としてニック・キャノン主演の映画『Drumline』サウンドトラックに楽曲を発表(「My Own Thing」)。その後約2年の準備期間、レコーディングを経て発表されるのがデビュー・アルバム『ザ・ラヴ・エクスペリエンス』だ。

ラヒームが業界で関わってきた人脈等からは“ネオ・ソウル”というジャンル表現が思い浮かぶが(特にA Touch Of Jazz一派とは交流が深く、今作でも彼らが収録曲プロデュースの多くを手掛けている)、非常にユニークな彼のアーティスト性は、もはや既存のジャンル定義には収まりきれないもの。ライヴ活動を基軸とする彼を「現代版マーヴィン・ゲイ」「現代版ダニー・ハザウェイ」と呼ぶ米メディアもある。当作品にはソウル、ジャズ、ロック、ヒップホップからハウス・ミュージックまで多彩な音楽のエッセンスが満ち溢れており、かつ現在26歳のラヒームらしい感性を通して創り出された全く新しいグルーヴを聴かせてくれる。