マネスキン
※写真左から
イーサン・トルキオ(ds)※2000.10.8生
トーマス・ラッジ(g)※2001.1.18生
ヴィクトリア・デ・アンジェリス(b)※2000.4.28生
ダミアーノ・デイヴィッド(vo)※1999.1.8生 

 

マネスキンはダミアーノ・デイヴィッド(vo)、ヴィクトリア・デ・アンジェリス(b)、トーマス・ラッジ(g)、イーサン・トルキオ(ds) から成るイタリアはローマ出身のZ世代4人組バンド。デンマーク語で「月光」を意味するバンド名は、デンマーク人とのハーフであるヴィクトリアがメンバーに頼まれていくつか提案した単語の中で、一瞬のうちに彼らを魅了したのが“マネスキン”だったという。メンバーは小学校低学年からの知り合いで、一緒に音楽をやるようになったのは2015年から。結成当時はコルソ通りやコリ・ポルトゥエンシ地区といったローマの歴史的中心地の路上で通りすがる人達に向けてストリート・ライブを行い、ライヴ・パフォーマンスを磨いてきた。

影響を受けたアーティストはブルーノ・マーズからアークティック・モンキーズを経てレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ハリー・スタイルズまでと幅広い。彼らのサウンドはロック、ラップ、ヒップホップ、レゲエ、ファンクの要素を多彩に織り交ぜ、フロントマン・ダミアーノのソウルフルな声によりまとめられていることが特徴だ。また、華やかなロック・スター然としたステージ衣装も目を引く。

2017年に発表の7曲入りデビューEP『Chosen』は、オリジナル曲以外に、フォー・シーズンズ「Beggin‘」、キラーズ「Somebody Told Me」、ブラック・アイド・ピーズ「Let’s Get It Started」、エド・シーラン「You Need Me, I Don’t Need You」などが収録され、彼らならではの魅惑的なアレンジが施されたカヴァーにも注目が集まった。

母国イタリアでは2018年にリリースの初のスタジオ・アルバム『Il Ballo Della Vita(読み方:イル・バッロ・デッラ・ヴィータ)』がイタリアのアルバム・チャートで初登場1位、トータル再生数は1億7000万回以上を数え、アルバムはダブル・プラチナを獲得。さらに、ヨーロッパ・ツアー全80公演中66公演が完売し、計14万人以上を動員。2021年3月には代表曲「Zitti E Buoni(読み方:ジッティ・エ・ブオーニ / 訳:黙ってイイ子にしてな)」「I Wanna Be Your Slave」を収録した2ndアルバム『Teatro D’ila Vol. I(読み方:テアトロ・ディーラ Vol.I)』発表。2作連続となるイタリアのアルバム・チャートで初登場1位、またアナログ盤ベストセラー・チャートでも1位を獲得している。前作よりもバンドとしての一体感が増し、圧倒的な熱量を包括した作品となっている。

2ndアルバムリリースと同時期の2021年3月にイタリアで最も権威ある音楽祭“サンレモ音楽祭”に参戦し、メンバーが作詞・作曲を手掛けた「Zitti E Buoni」で優勝を果たす。また5月には、アバ、セリーヌ・ディオンを生んだヨーロッパ最大の音楽の祭典“ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2021” (5月22日決勝大会)でも、同曲を披露し見事優勝。毎年約2億人が試聴すると言われるユーロヴィジョン・ソング・コンテストでイタリアのアーティストが優勝するのは31年ぶりの快挙となった。「Zitti E Buoni」は優勝後わずか1日で、Spotifyで400万回近くストリーミングされるなど、イタリアの楽曲として史上最多の再生回数を記録。その勢いはイタリアだけにとどまらず、ヨーロッパ各国、アメリカ、そして日本にも広がり、世界中の音楽シーンを席巻する。

「ジッティ・エ・ブオーニ」(ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト・パフォーマンス)

https://youtu.be/RVH5dn1cxAQ

 

さらに英語詞で独特のリズムがクセになる「I Wanna Be Your Slave」、デビューEP『Chosen』に収録のフォー・シーズンズのカヴァー曲「Beggin‘」も世界的ヒット曲となった。特にTikTok上の動画投稿がひとつのきっかけとなりヒットした「Beggin’」は、ストリーミングサイトSpotifyグローバルTOP50チャート(2021年7月6日付)でオリヴィア・ロドリゴ、エド・シーラン、リズ・ナズ・X、ドージャ・キャット、デュア・リパetc..錚々たるアーティストがTOP10に名を連ねる中、堂々の1位獲得。

UKオフィシャル・シングル・チャート(2021年6月25日付)では、「I Wanna Be Your Slave」「Beggin’」が2曲同時にTOP10にランクイン。これはイタリアのアーティストとしては初となり、ユーロヴィジョン・ソング・コンテストの優勝者でもあるアバやセリーヌ・ディオンでも成し遂げられなかった快挙を果たす。(以降、6週連続2曲同時TOP10入りを記録)

また「I Wanna Be Your Slave」をロック界のレジェンド“イギー・ポップ”と共演するなど、新たな話題を提供。また2021年10月にはグローバル・ブレイク後初となるシングル「MAMMAMIA(読み方:マンマミーア)」をリリース。バンドを取り巻く環境が大きく変更する最中で制作された同曲は、彼ららしいストレートなロックナンバーに仕上がり、どこか皮肉めいた歌詞が現在の彼らを象徴している。衝撃的な内容のMVも大きな話題を呼んだ。

「マンマミーア」ミュージック・ビデオ

https://youtu.be/Ex037JX3-BI

 

2021年10月13日に『Teatro D’ila Vol. I』の日本盤CDをリリース。また同時期に初となる全米プロモーション・ツアーを行い、数多くのメディアに出演し全米に大きなインパクトを残した。さらにローリング・ストーンズのラスベガス公演のオープニングアクトにも抜擢。ローリング・ストーンズのオープニングアクトといえば、常に注目の若手が起用されることが多く、これまでにもプリンス、ヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ、ガンズ&ローゼズ、レニー・クラヴィッツ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、など現在では名だたるアーティストが出演しており、彼らがオープニングアクトに起用されたという事は、ある意味、今最も注目すべきバンドであることが立証されたともいえる。

全米プロモーション・ツアーの後、ヨーロッパ最大級の音楽授賞式「2021 MTV EMA」に出演。“最優秀ロック賞”“最優秀グループ賞”“最優秀イタリアン・グループ賞”の3部門にノミネートされ、最優秀ロック賞を受賞。イタリア出身のアーティストとして初めてグローバルなカテゴリとなる同賞を受賞し、コールドプレイ、フー・ファイターズ、イマジン・ドラゴンズ、キングズ・オブ・レオン、ザ・キラーズといった同部門にノミネートされた錚々たるメンバーから同賞を勝ち取るという快挙を達成。受賞スピーチでは「まず、ファンのみなさん、そして僕たちを応援してくれたみなさん有難う!大好きです!僕たちの音楽では成功しないと普段言っていた人々は、どうやら間違っていたようだね」。と語り、自分達に批判的だった人々を皮肉まじりに表現する相変わらずのスタイルが話題に。またアメリカ最大の音楽祭の一つである「アメリカン・ミュージック・アワーズ(AMAS)」にも出演。ベスト・トレンディング・ソング部門にノミネートされた「Beggin’」をパフォーマンス。残念ながら受賞はならなかったが、圧巻のパフォーマンスを披露。

 

「ベギン」(アメリカン・ミュージック・アワード2021 パフォーマンス)

https://youtu.be/Qdkt3I5-FG4

 

2022年に入り、その勢いはさらに加速度を増していく。

5月にシングル「Supermodel」をリリース。同曲は世界的なプロデューサー、マックス・マーティン(ザ・ウィークエンド、コールドプレイ、レディー・ガガ)率いるチームとともにロサンゼルスでレコーディングされ、そのカリフォルニア的なサウンドと感染力の強いモダン・ロックのグルーヴが特徴となっている。メンバーがロサンゼルス滞在中に出会った数多くのキャラクターにインスピレーションを受け、楽曲のコンセプトを考え付いたという。クールなロックサウンドにどこかシニカルな世界観が漂う、彼らの真骨頂ともいえるナンバーは、全世界でのストリーミングが1.7億回を突破(2022年9月現在)。5週連続でビルボードのオルタナティヴ・チャート1位、全米オルタナティヴ・ラジオ・チャートでも複数週1位を獲得する大ヒットなった。MTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)でも同曲を演奏。テレビの生中継には色気が過ぎるパフォーマンスだったが、この祭典で彼らはイタリア人アーティストとして史上初めてVMAを受賞し、「最優秀オルタナティヴ・ビデオ」部門を誇らしげに持ち帰った。

また同曲を引っ提げ、ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2022のファイナルで、このシングルをライヴで初披露。彼らが大躍進するきっかけとなった、同コンテストでの優勝から1年を経ての出演は、まさに凱旋公演の様相を呈していた。

「スーパーモデル」ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2022 パフォーマンス

https://youtu.be/C89K9WPqm9A

 

さらに世界各国のフェスに続々出演。4月には世界最大のフェスの一つでもあるコーチェラ・フェスティヴァルへの初出演を皮切りに、

ロラパルーザ(アメリカ・シカゴ)、ロック・イン・リオ(ブラジル)、ピンクポップ(オランダ)、ロック・アム・リング(ドイツ)など、多数のフェスティヴァルの巨大なメイン・ステージに出演。またイタリアの歴史的な遺跡チルコ・マッシモではソールド・アウトとなった7万人の観衆を前に輝かしく単独公演を行った。

そして8月にサマーソニック出演および単独公演のため、遂に初来日を果たす。単独公演の豊洲PITでのチケットは即日ソールド・アウトになるなど、洋楽新人としては異例の現象が巻き起こった。サマーソニック公演でも。その強烈すぎるパフォーマンスを満員のオーディエンスを虜にした。来日中にはTV出演など多数のメディアにも登場し、音楽面だけでなく、彼らのアイデンティティにも大きな注目を集めた。

他にも、バズ・ラーマン監督によるエルヴィス・プレスリーの伝記映画、『エルヴィス』(7月1日・金曜・日本公開)にエルヴィスの代表曲の一つでもある「If I Can Dream」をカヴァー提供。エンドロールで流れる同曲は、映画の余韻を更に高めた事だろう。さらに日本のアニメ好きでも知られるダミアーノのフェイバリット作品の一つ「BEASTARS」とのコラボレーション企画も発表されるなど、様々な分野で大きな話題を呼んでいる。

「イフ・アイ・キャン・ドリーム(明日への願い)」ミュージック・ビデオ

https://youtu.be/XVbl0mQACSM

 

マネスキン、『BEASTARS』作者の板垣巴留先生に会う 【夢のコラボイラストが完成!

https://youtu.be/VKNrzETfPcM

 

10月7日には珠玉のパワーバラード「ザ・ロンリエスト」をリリース。同曲を引っ提げ、10月31日から『ラウド・キッズ・ツアー』と名付けられたツアーがスタート。シアトル公演でキック・オフとなり、チケットは全会場SOLD OUT。ニューヨーク、サンフランシスコ、アトランタ、ワシントンDC、ロサンゼルスなど全米各地をまわる。

またグラミー賞最優秀新人賞にもノミネートするなど、まさに大飛躍といえる1年となった。

2023年に入り、1月20日に待望のニュー・アルバム『ラッシュ!』が全世界同時リリースとなった。

ヒット・シングル「マンマミーア」「スーパーモデル」「ザ・ロンリエスト」は勿論のこと、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、オーディオスレイヴなどを歴任するレジェンド・ギタリスト“トム・モレロ”がゲスト参加した楽曲「ゴシップ feat. トム・モレロ」なども含む全17曲を収録(日本盤CDはボーナス・トラック1曲追加の全18曲)。昨今では珍しいヴォリューム感がアルバムとなったが、収録分数は約53分に収められ、現時点の彼らを象徴する疾走感がアルバム全体から溢れでている。

リリース前日の19日に、バンドはリリースを記念し、地元イタリア・ローマのパラッツォ・ブランカッチョ(ブランカッチョ宮殿)で結婚式をモチーフにリリース・パーティーを行った。メンバー4人がそれぞれウェディングドレスなどを纏い、バンドの結束をさらに高めるという象徴的な意味で「結婚」し、今後も世界制覇と絶頂の極みを目指す上での永遠の忠誠を誓いあうという、アイコニックなイベントとなった。会場にはバズ・ラーマン監督(映画「エルヴィス」など)、マシン・ガン・ケリー、アレッサンドロ・ミケーレ(元グッチ・クリエイティブ・ディレクター)、パウロ・ディバラ(セリエA、ASローマ所属)など数多くのゲストも参加。最新作からの楽曲も含む全12曲のLIVEも行われるなど、終始華やかなパーティーとなった。

アルバムはオリコン週間アルバムランキングでTOP10入り、洋楽アルバムランキングでは1位を獲得(共に2023年1月30日付)するなど、洋楽の新人アーティストとしては異例のヒット。世界各国でも15ヶ国で1位、20ヶ国でトップ5入り、USビルボードのオルタナティヴ・アルバム・チャート1位を獲得するなど大ヒット。さらに11月には新曲5曲を追加した同アルバムのリイシュー盤『ラッシュ!(アー・ユー・カミング?)』もリリース。今なおロングセラーとなっている。

同年9月から12月まで、ヨーロッパ、北米、南米、オーストラリア、アジアを回るアリーナツアー“ラッシュ・ワールド・ツアー”をスタート。NYのマディソン・スクエア・ガーデン公演、さらに日本での4公演もSOLD OUTとなった。世界中を熱狂させる圧倒的なライヴ・パフォーマンス、人々を魅了するセンセーショナルなメッセージ...その勢いはまだまだ止まる事を知らない。新たなロック・アイコンが不在の昨今、ロック復活の狼煙を上げてますます全世界的に勢力を増していく彼らに今後も注目。