ランチマネー・ルイス

本名ガマル・ルイス。オーセンティックなソウルとヒップホップを愛する生粋のマイアミっこであるランチマネーはジャマイカにルーツを持つ音楽一家に生まれ、レゲエやモータウン、ジェームス・ブラウン、マーヴィン・ゲイ、プリンス、オージェイズなどを聞いて育つ。父親ロジャーと伯父イアンは、“バッド・ボーイズ”のヒット曲で知られる伝説のレゲエ・バンド<インナー・サークル>のメンバーでもある。高校生の時に出会ったプロデューサーのサラーム・レミとの仕事をきっかけに、ランチマネーに大きな転機が訪れ(ランチマネーというニックネームも丁度この頃に誕生した)、ミーク・ミル(“オフ・ザ・コーナー feat. リック・ロス”)、エース・フッド(”ウィー・ドント“)、P・ディディ(”ビッグ・ホーミー feat. リック・ロス“)など大物アーティストへ次々と楽曲を提供。さらに自身で発表したシングルやミックス・テープが地元マイアミで人気を集め、ドクター・ルークのプリスクリプション・ソングスと契約を交わしたばかりのJ・カッシュと出会う。二人はジューシー・Jの”スカラーシップ“でコラボし、その後ランチマネーはソングライターとしてプリスクリプション・ソングスに合流するため、LAに拠点を移す。

 

LAに着いて間もなく、ランチマネーは早くも活躍を見せ、ニッキー・ミナージュ(「ピンクプリント」収録の“トリニ・デム・ガールズ”)、フィフス・ハーモニー(「ボス」)、ジェシー・J(“バーニングアップ feat. 2チェインズ”)らに楽曲を提供。実際のランチマネーは山のような大男で落ち着いた性格ではあるが、その内側には誠実でポジティブなエネルギーに満ち溢れている。その前向きな精神は、ランチマネーの創り出す歌詞や音楽に一貫して表れており、ソングライターとして重要なパートナーであるジェイコブ・カッシャー(aka. Jカッシュ)やベテラン・ヒットメーカーであるプロデューサーのリッキー・リード(ウォールペイパー)の存在も欠かせない。デビューEP『ビルズEP』に収録された、“ビルズ”、“ママ”、“ラブ・ミー・バック”など陽気で気分が高揚するようなこれらの楽曲は、かつてのフィラデルフィア・ソウルのギャンブル&ハフや南部ゴスペルのスタックスを彷彿とさせると同時に、コンテンポラリー・アーバン・ポップとしての現代性も十分に持ち合わせているのだ。