ハワード・ジョーンズ
ハワード・ジョーンズ
Biography 2009

 1983年、1stシングル「New Song」をリリース。デビューにして大方の予想を遥かに上回る大ヒットとなり、着実なセールスでイギリス・チャート最高3位を記録する。続いてリリースされた2ndシングル「What is Love?」はさらにイギリス2位と記録を更新、3rdシングル「Hide and Seek」(邦題「かくれんぼ」)で彼の超俗的な才能を広く世間に知らしめた。1984年、1stアルバム『Human's Lib』はリリースされるや瞬く間に全英ナンバーに輝き、最終的にはプラチナ・アルバムにまで昇りつめた今作は、シンセサイザーを駆使した彼の音楽とハワード・ジョーンズ本人を確固たる地位にのし上げ、この成功により彼の名は『Human's Lib』とともに、アメリカをはじめ、日本、ドイツ、イタリア、オーストラリアへと世界的に広がった。

 2ndアルバム『Dream into Action』はさらなる成功を収め、「Like To Get To Know You Well」(邦題「君を知りたくて」)、「Look Mama」、「Things Can Only Get Better」(邦題「オンリー・ゲット・ベター」)等、数々のヒットチューンを世に送り出した。なかでも名曲「No One Is To Blame」(邦題「悲しき願い」)は全米シングル・チャート1位を記録、同国のラジオ局ではこれまでに3,000,000回以上もエアープレイされているという。また、『Dream Into Action』はアメリカでプラチナ・アルバムとなってその年のUSトップ20を飾り続け、過去25年間、アメリカでもっともブレイクしたイギリス人アーティストの一人となった。

 1986年にはローリングストーンズ誌のベスト・キーボード・プレイヤーに選抜、1987年、1989年とニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン、ロサンゼルスのLAフォーラム、日本武道館等、世界各国で大々的にライヴを開催。1985年に行なわれた20世紀最大の世界的チャリティ・コンサート“ライヴ・エイド”にて「Hide and Seek」を演奏、2004年にリリースされたDVD『LIVE AID』ではその模様がフィーチャーされている。

 Warner/Elektraレーベルからは他に3枚のアルバム『One To One』(1987)、『Cross That Line』(1988)、『in The Running』(1992)を発表、アルバム・リリースとともに行なわれたワールドツアーも大成功を収めた。さらに『In The Running』に収録の「Lift Me Up」はシングル・カットされ、アメリカ・チャートのトップ10入りを果たす。また1993年にはベスト・アルバム『Best Of Howard Jones』がリリースされたが、これに過去のアルバム作品を含め、現在800万枚を超えるセールスを記録している。

 『In The Running』以降、自身のレーベル“dTox”を立ち上げ『Working In The Backroom』をリリース。コンサート会場及び彼のオフィシャル・サイトでのみ購入可という形態が話題を呼んだ。この形態はその後も続いており、また真の開拓精神というべき彼の意志は現在に受け継がれ、未だ今作がレコード店等に並ぶことはない。

 クラシック・ピアノを学んだ彼は新たな道に進むことを決意し、1996年、アコースティック・ツアーを敢行する。パーカッショニストのCarol Steelのみを同行し、シンセサイザーなしでグランド・ピアノをフィーチャーしたこのツアーは大成功を収め、ロサンゼルスのVariety Arts Theatreにて行なわれたステージは『Live Acoustic America』としてリリースされ、ライヴ・アルバムの傑作と評されるべき作品となった。

 2003年9月、ハワードは1stシングル「New Song」の発売20周年を記念してロンドンのThe Shepherd's Bush Emipreにてコンサートを行なう。このコンサートは4つのパートに分かれていた。第1部はアコースティック・セット。Robin Boult(on accoustic guitar)、Nick Beggs(on Chapman Stick)、Andy Ross(on sass)と共に演奏された第1部は曲間をライヴ・プロミラングするという、ハワードが1983年に用いたシンセ・リグを再現したセットだった。「Equality」「Bounce Right Back」の2曲ではパントマイム・アーティストのJed Hoileがパフォーマンスを行ないオーディエンスを湧かせた。第3部ははワードがシンセサイザーを担当、Robbie Bronnimann(on mixing, effects & keyboard)、Shaz Sparks(on backing vocl)、Robin Boult(on electric guitar)というエレクトロニック・バンドによる演奏で2003年現在のハワード・ジョーンズを体現してみせた。第4部はRoy Jones (on vocal)、Phil Jones(on keyboards)、Greg Leppard(on Drums)、Nick Beggs(on bass)によるバンドを自身のバンドに迎えたハワード・ジョーンズ・ビッグバンドの演奏でラストを飾った。ちなみに第4部ではNena and Midge Ureがゲスト出演、Nenaにとってはこれが20年ぶりとなるイギリスでのステージだった。コンサートの模様はDVD『The 20th Anniversary Concert』に完全収録され、これに合わせてWarner Music UKは20周年記念として2枚組ベスト『The very Best Of』をリリース。今作のDISK2はファン待望のシングルB面集となっている。

 2004年、ハワードは新作『Revolution of the Heart』の制作にとりかかる。プロデュースはハワード本人とRobbie Bronnimann、「Revolution of the Heart」「Just Look at You Now」も収録された。イギリスではこの2曲のリミックスがアナログ盤で先行リリースされており、「Revolution of the Heart」はUKクラブチャートで17位、DMCチャートでは7位を記録。「Just Look at You Now」はクラブチャートで19位、DMCチャートでは14位を記録した。またハウス/テクノのトップDJ・Eric Prydzが「Things Can Only Get Better」をリミックス、「And Do You Feel Scared」と新たにタイトルされたこの曲はUKダンスシーンにセンセーションを巻き起こした。正式リリースはされていないがエレクトロニック・アーツより発売されたゲーム『FIFA World Cup Germany 2006』に使用され、また同時に世界各国のクラブにブートレッグが流れた。

 2005年2月、一夜限りのスペシャル・アコースティック・ショーをシカゴの有名レストランPump RoomにてJackson Browneと共演して行なう。
 また、2005年4月2日にイギリスのテレビ番組ITV「Hit Me Baby One More Time」に出演。「What is Love」をバンドで、「White Flag」を彼のピアノとRobin Boultによるギターで演奏。過去15年でもっとも大きなテレビ出演となる。さらにアメリカ版「Hit Me Baby One More Time」にも出演、ゴールデンタイムにNBCにてアメリカ及びカナダでオンエアされ、NBC視聴者によるオンライン投票でハワードがナンバー1に選ばれるという快挙をなす。オンエアから24時間のうちに彼のオフィシャルサイト(The Howardjones.com)には45,000以上のヒット数があり、サーバー・ダウン寸前の事態となるほどの反響を呼んだ。

 ハワードがピアノ&ボーカル、Robin Boultがアコースティック・ギターという編成で、2006年1月、大規模なUSアコースティック・ツアーを敢行。このツアーは大成功を収め、翌年には1〜2月、9月〜10月とより長期のツアーに発展した。

 2006年8月、ハワードは長年の目標を叶える。エジンバラ・フリンジ・フェスティバルの Gilded Balloonで“Acoustic Nights”と名付けて8月9〜12日の4日間にわたるアコースティック・ショーを行ない、秋にかけては15回のエレクトリック・ショーをイギリスにて開催、さらにアメリカとカナダで7回のアコースティック・ショーを行った。
 2006年11月、「Building our own future」を発表するや、世界のポッドキャスト・チャートにおいてナンバー1に輝く。3週間に渡って1位の座を守り続け、750,000ダウンロードを記録した。初登場で3週連続1位となったアーティストは彼をおいて他に例がない。

 2007年には少なくとも3枚のアルバムをリリース。うち『Piano Solos Volume Two』は2作目となるピアノ・インスト作(5.1チャンネルのボーナスCD付)、『Revolution of the Heart』収録曲のダンス・ミックスをフィーチャーした『Revolution Remixed and Surrounded』にはJohn B、Sharooz、The Young Punx、DJ Strobe、dba、Robbie Bronnimann、Richard Dekkard、Stephen Taylerらがリミックスで参加。Stephen Taylerがビジュアルを手がけ、こちらには5.1チャンのボーナスDVDが付いた。また2007年11月には、同年4月13日のBirkenhead Pacific Road Arts Theatreでのステージがレコーディングされた待望のライヴ・アコーステックアルバム『Live in Birkenhead』もリリースされた。

 ハワードは引き続き世界各国をツアーして回った。2007年の公演数は60公演以上にのぼる。もはや恒例となった1〜2月のUSツアーに加え、3月には22年ぶりのオーストラリアツアーも敢行し大成功を収めた。さらにはイギリス、ドイツ、イタリア、デンマーク、スウェーデン、ドバイにも訪れている。また、2007年10月10日にはニューヨークのカーネギーホールにて行なわれたチャリティ・コンサート“Music For Youth”に出演。参加アーティストがそれぞれエルトン・ジョンの楽曲を演奏するイベントで、Roger McGuinn、Shawn Colvin、Phoebe Snow、Aimee Mannらが出演するなか、ハワードは「Tiny Dancer」を演奏しスタンディング・オーベーションを受けた。FOX NEWSはこのコンサートを評価し、特にPhoebe Snowとハワードの演奏を賞賛するコメントを残した。
 2008年は2回のアメリカツアーを行ない(うち1回はアコースティック)、またマレーシア、イタリア、イギリス、ウクライナ、アイルランド、日本でも公演を行った。
 彼の最新アルバム『Ordinary Heroes』は本国イギリスでは2009年11月にリリース(イギリスのロンドン、マンチェスター、カーディフで3都市でそれぞれリリース日が異なる)。カーディフでは最新アルバムにも参加したThe Morriston Orpheus Male Voice Choirがフィーチャーされる。(日本では、2010年春リリース予定)

 ハワードの活動は揺るぎない支持を得て、アルバムのセールス総数は現在800万枚を超えている。この至上のミュージシャン/作曲家は、見事なまでの独自性と彼ならではのやり方で、制作からツアーまで、あらゆる活動を精力的にこなし、現存するもっとも優れた作曲家/パフォーマーの一人であることを証明している。彼の独立した姿勢と能力、リスクを恐れない精神は、現在の音楽界においての最先端として今後も活動を続けていくことを約束してくれるに違いない。