ドネル・ジョーンズ
1990年代初頭のシカゴ。まだティーンのドネルは悪名高いサウス・サイドのストリートでギャング生活を送っていた。だが母親からギターをプレゼントされたことと、ゴスペル・シンガーの父親の影響もあって、彼が14歳の時に音楽活動を始める。



1993年、ワシントンDCで行われたあるショウケースにて元Heavy D & The BoysのメンバーでUntouchablesのリーダー、”Eddie F” Ferrellに見出される。結果、ドネルはアトランタを拠点とするLaFace Recordと契約が成立。デビューのきっかけをつかんだ。



ドネルが才能を開花させたのはUsher、Brownstone、702やSilkなどのソングライティングやプロデュースからだった。1996年にはシンガーとしての活動をスタートさせ、1999年にはTLCのレフト・アイが参加した『U Know What’s up』をリリース。この曲はUSチャートで1位を獲得し、8週連続7位以内にチャートインし、UKチャートでも1位を獲得するという偉業を成し遂げた。



次に2002年にシングル『You Know That I Love You』がヒット。さらにスティーヴィー・ワンダーの名曲『Knocks Me Off My Feet』のカバーが話題を呼び、R&B市場での人気を揺るぎ無いものにした。



また、彼は今まで3枚のアルバム[1st Album My Heart(1996)/2nd Album Where I Wanna Be(1999)/Life Goes On(2002)]をリリース。決してコマーシャルな売り出し方をしていないのにもかかわらず、リリースを重ねるごとに好セールスを記録。3rd Album『Life Goes On』は全米チャートで最高2位を獲得した。



4年ぶりに届いたニュー・アルバム『Journey Of A Gemini』は、彼がシンガーとしてネクスト・レベルに到達したことを証明する曲が詰まっている。ドネルの最大の武器である心の内面を描き出す歌詞と楽器の生演奏が相乗効果となり、ボーカリストとしての才能を際立たせている。一方でストリート・テイストも健在なところは、彼のシカゴのサウス・サイド育ちならではのこだわりが感じられて粋だ。ゲームのような男女関係についての歌がもてはやされるご時世だが、本物のロマンティックを歌に求める音楽ファンにぜひ堪能して欲しい一枚だ。