TOTO

ボズ・スキャッグス『シルク・ディグリーズ』(1976年)のレコーディングに参加したジェフ・ポーカロ(d)、デヴィッド・ペイチ(key)、デヴィッド・ハンゲイト(b)に、ジェフの弟スティーヴ・ポーカロ(key)とその同級生のスティーヴ・ルカサー(g)が加わる形で結成。LAスタジオ・シーンで引く手あまただった腕利きの若手セッション・ミュージシャン集団による、高い技術とセンスに裏打ちされた斬新で緻密なスタジオ・ワーク、洗練された都会的なサウンド・メイキングによる親しみやすい楽曲で一世を風靡、「アフリカ」、「ロザーナ」、「99」など世界的なヒットを連発し、1970年代後半から80年代のウェストコースト・シーン/AORを象徴するバンドとなった。

この数年間のTOTOの人気は、キャリアのこの時点にあるバンドとしては極めて珍しい大きな復興期にあった。2018年の結成40周年は、新しいグレイテスト・ヒッツ・アルバム(『40トリップス・アラウンド・ザ・サン』)のリリースと、バンド史上最高の成功を収めた世界ツアーによって特徴づけられた。レコード音楽の歴史において、個人またはグループとして、TOTOのメンバー以上にポップ・カルチャーに大きな印象を残したアンサンブルは少ない。このバンドのメンバーは、個人としてなんと計5,000作以上ものアルバムに参加しており、合計で5億枚も売り上げているのだ。これらの作品のうち200作以上が、NARAS(全米レコーディング芸術科学アカデミー)のグラミー賞ノミネートによって称賛されている。当時数多くの日本人アーティストもTOTOサウンドを参照したり、メンバーを実際にレコーディングに起用し、現在世界中で人気沸騰中のシティ・ポップの音像形成に大きな影響を与えた。

グループとしてのTOTOは世界中のすべてのストリーミング・サービスにおいて20億回以上の再生回数を誇る。最大のヒット曲の1つ「アフリカ」は、昨年のわずか1年間でプラチナ・シングルから、最近の6Xプラチナ・シングル再認定にまで躍進し、彼らは新世代のファンを獲得した。結成40年以上を経て、マイケル・ジャクソンの『スリラー』という史上最高の売上を果たしたアルバムを含む文字通り何千もの参加クレジットを重ね、様々な栄誉を冠したTOTOは、今も世界屈指の売上を誇りツアーを行うレコーディング・アーティストの1つであり続けている。多くのアーティストがサウンドやプロダクションの基準とする彼らは、音楽的信用性の純然たる代名詞として、音楽コミュニティ全体が設けた基準を引き続き超越していく。彼らはポップ・カルチャーそのものであり、トレンドやスタイルの移り変わりを生き延び、時代性を保ちながら多世代にわたる世界中のファンを享受している数少ない’70年代のバンドのひとつなのだ。なお、2022年には結成45周年、名盤『TOTO IV~聖なる剣』発表40周年というビッグ・イヤーを迎える。(2021年4月13日更新)