ファントム・プラネット
ロサンゼルスから飛び出したインディー・ロック・バンドPhantom Planetのメンバーが出会ったのは、1994年。彼らが10代の前半だったころ、地元のピザハットでの結成だった。結成時のメンバーはジャック・ブローバー(guitar)、サム・ファラー (bass)、アレックス・グリーンワルド (vocals/guitar)、 ダレン・ロビンソン (guitar)、ジェイソン・シュワルツマン(drums)。スタイルは、ポスト・グランジ。バンド名は60年代のSF映画からとった。メンバーはそれぞれ一流校のバックグラウンドを持っていたため、ガレージでジャムるバンド活動はあくまでも趣味に過ぎなかった。フランシス・フォード・コッポラの甥であり、タリア・シャイアの息子であるシュワルツマンは、Rushmore(1998)、Slackers(2002) などの映画に出演した。グリーンワルドはモデルとしても活躍し、21世紀 の幕開けの年にはGAPのCMでおなじみの顔となった。また、ブラックなコメディー映画Donnie Darko (2001) では精神病患者を演じた。子供の頃から楽器に親しんできたファラーは、有名な作詞/作曲家/プロデューサーのジョン・ファラーの息子である。父ファーラーの代表作は、1978年のスマッシュ・ヒット「グリース」の “You're the One That I Want”、“Hopelessly Devoted to You” である。このほかにも、オリビア・ニュートン・ジョンなどに数々のヒット曲を提供している。

90年代の後半、Phantom Planetはロサンゼルス周辺でライブ活動を繰り広げ、その頭角を現した。ライブの合間を縫って、1997年にはGeffenとの契約も取り付けた。その翌年、デビュー・アルバムPhantom Planet Is Missingをリリースするが、評判は今ひとつ。それでも、人気は上昇傾向にあり、メンバーの中からは“Sabrina, the Teenage Witch” や “Get Real” などのテレビ番組にゲスト出演を果たした者もいた。そして2001年、彼らは2枚目のアルバムに取りかかるために、チャド・ブレイク(Pearl Jam, Sheryl Crow)、ミッチェル・フルーム (Elvis Costello、Paul McCartney) らとともにスタジオ入りした。一年後、『The Guest』を発表。コンテンポラリーなギターサウンドをバックに、ヒネリの効いたフックが60年代のインスピレーションを感じさせる爽やかなメロディーとぶつかりあう快作となったこのアルバムは全米メディアで高く評価された( “Orange County”のサントラにも含まれていたデビュー・シングル “California” がヒットとなった)。2003年8月、ファンにとってはがっかりする出来事だったが、ジェイソン・シュワルツマンが脱退を表明。バンド活動は今、自分がやりたいことではなく、他の道(俳優業)に進みたいということだった。ジェイソンの後任として、同じ地元LAで活動していたインディー・バンド“Big City Rock”よりジェフ・コンラッドが加入した。





【Members】



アレックス・グリーンワルド(リード・ヴォーカル/ギター):1979年10月9日生まれ

母親はクラシック及びフラメンコ・ギターの教師で、10際の頃から母にギターの手ほどきを受けた後、エレキ・ギターを始めた。最初に買ったアルバムは、本人は「笑うかもしれないけど」といっているがガンズ&ローゼズの「アペタイト・フォー・ディストラクション」。同時に母親の影響でビートルズの「ホワイト・アルバム」や「リボルバー」が大好きだった。そのほかにはザ・フーやエルヴィス・コステロなど。ギターで初めて弾けるようになった曲はビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」。それが現在の曲作りに多少の影響を与えているかも知れないとは本人談。98年のデビューまでには、CMソングを提供したり自ら歌ったり、GAPのCMに出演したりと、早くからマルチな活動をしていた模様。



ジャック・ブローバー(ギター/ヴォーカル):1979年3月14日生まれ

12歳でギターを弾き、同時に曲を書き始めた。LAのタワーレコードのクラシック・コーナーに行けば彼に会えると噂されるほど、クラシック音楽が大好きだということだ。『THE GUEST』発表当時は南カリフォルニア大学で、毎年7人しか受講できないという名門コースで音楽学位取得に向けて勉強していた。



ダレン・ロビンソン(ギター):1978年8月24日生まれ

プロ・トゥールス(ハードディスク・レコーダー)やコンピューター操作に精通しているとのことで、ファントム・プラネットのオフィシャル・ウェブサイトのメンテナンスも手伝っている。4年前には「Garbage Pail Kids全15シリーズのコレクションを完成したので、今度はBeanie Babiesを集めるんだ」と言っていたので、かなりのトイズ・フリークかも。コンバース好き。



サム・ファラー(ベース、ヴォーカル):1978年6月29日生まれ

父親は著名なソングライター。アレックスと同じカレッジに通っていた。卒業後はアカデミー・オブ・アート・イン・サンフランシスコに進みたいと真剣に考えていた程の絵画好き。特にエッシャー・マグリット、ダリといったシュール・リアリズムの画家がお気に入りだとか。父の血譲りかプロデュース業も行っており、最近は同じLAのバンド、ルーニーのプロデュースを手掛けたとか。



ジェフ・コンラッド(ドラムス):1978年2月1日生まれ

ジェイソン・シュワルツマンに代わって03年に加入。96-99年にはミネアポリスのThe Siren Sixというスカバンドに在籍、02-03年にはファントムと同じLAのBig City Rockというバンドに在籍していた。フェイヴァリット・ドラマーは、U2のラリー・ミューレン、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナム。