ブルー・カントゥレル
 2001年のデビュー・アルバム『So Blu』と新人とは思えないボーカル・スキルでその名を世界中に広めたブルー・カントゥレル。その彼女がよりパワフルでホットな新作を完成させた。そのタイトルは『Bittersweet』。「このニュー・アルバムは私の人生の第2章といったところよ。苦痛からはちょっと遠ざかって、真の愛に近づいたってところかしら。」ブルーがそう語るのには訳がある。彼女がデビュー・アルバムを完成させた頃、彼女は恋愛関係でひどく苦痛に悩まされていたのだ。「だから『Bittersweet』ってタイトルにしたの。いまだに過去のビターな経験も覚えているけど、恋愛のスウィートな部分も経験したから。」

 彼女の言うとおり、この『Bittersweet』は涙に濡れた日記でもあり、同時にどうやってその状況を乗り越えるかというアドバイスでもある。現在27歳となるブルーは言う。「男女関係について歌うのはセラピーみたいなものなの。自分がするべきことにフォーカスさせてくれて、他の出来事に目を奪われないようにしてくれるわ。」アルバムの中に収録されている彼女が自分の失恋を歌ったビターな「Sleep In The Middle」などや恋愛の喜びを歌ったスウィートな「Happily Ever After」などどちらも彼女の現実的なセンスとバランスで表現されている。ファースト・シングルの「Breathe」はトラブルばかりの関係を続けていくくらいなら思い切って別れて傷が癒えるのを待ったほうがいい、という内容。「この曲はつい最近の恋愛についての曲。時には一歩さがってお互い間を空けたほうがいいこともあるのよ。」そう彼女は告白する。

 アルバムにはブルーを見出したクリストファー・トリッキー・スチュワートをはじめシェップ・クロフォード、マイク・シティ、ソウルショック&カーリン、アイヴァン・マティアスといったプロデューサー陣が参加、彼女のソウルフルなボーカル、そして歌詞を最大限に引き出すことに成功している。さらにゲストとしてショーン・ポール、リル・キム、インナー・サークルのイアン・ルイスらも参加、ブルーのボーカルと見事なコラボレーションを見せている。

 エモーショナルでパワフルなボーカル、そして洞察力に溢れたソングライティングという才能に恵まれた2001年ダラス・オースティンがプロデュースしたデビュー・シングル「Hit’em Up Style(Oops!)」はR&Bフレイバーとスウィング・ジャズのフレイバーが融合したトラックに強気な歌詞をのせたインパクトある曲として大ヒット。全米シングル・チャートで2位まで上昇しグラミー賞やアメリカン・ミュージック・アワードなどにもノミネートされブルーのキャリアを一気に輝かしいものにした。「彼女の声を聴いた瞬間、彼女はスペシャルだってわかったよ。」アリスタ・レコードの社長アントニオ・LA・リードはそう語る。「彼女はこの『Bittersweet』でめざましい成長をとげた。今回は内に秘めた才能とアーティスト性がより現れているよ。」そうLA・リードが言うように今回のアルバムでブルーはカリビアン・フレイバー溢れる「Make Me Wanna Scream」をはじめ「Let Her Go」「Holding On To Love」など4曲でソングライトも手がけている。

 ロードアイランド州のプロヴィデンスに生まれ育ち、アマチュア・ジャズ・シンガーだった母親と5人の兄弟姉妹と暮らしていたブルーは母親が地元のクラブなどで歌う時には必ず一緒についていったという。音楽に囲まれて育った彼女はやがてP.ディディやフェイス・エヴァンス、ジェラルド・レヴァートといったアーティスト達のバックシンガーをするようになる。2000年にはヒット・プロデューサーのトリッキー・スチュアートとアトランタで出会い、彼の指導のもとにデモ制作を開始。「トリッキーがアントニオ・LA・リードに電話してくれたの。LAはA&Rのスタッフを連れてNYからアトランタに会いに来てくれたわ。『’Til I’m Gone』というトリッキーと一緒に作った曲をアカペラで歌ったの。LAの前で歌いだしたら何かが乗り移ったみたいに何だか教会で歌ってるみたいで足が宙に浮いているような気分になって歌に集中できたわ。その場でLAはサインしてくれたのよ!」デビューの経緯を彼女はそう語る。

 「私はいつも愛についての真実を歌うの。砂糖で包んだりしないわ。ユーモアのセンスだってあるのよ!音楽を通して暗くなりがちな物事に明かりをあてたいの。特に恋愛関係についてね。この『Bittersweet』はもしかしたら暗くて湿ったアルバムになってしまっていたかもしれないけど、その代わりに聴き手に情熱と楽しみを与えるように作ったわ。みんなに私がすごく楽しんで作ったアルバムを私以上に楽しんでほしいと思ってるの!」