5 Billion in Diamonds
 
『5 BILLION IN DIAMONDS』は、ブッチ・ヴィグとアンディ・ジェンクス、DJジェームズ・グリロのプロデューサー陣からなる、大西洋をまたにかけた音楽同盟によって着想・作曲・プロデュースされ、その名を冠したデビュー・アルバムである。
 
ブッチ・ヴィグとDJジェームズ・グリロは1998年に出会い、音楽と映画を愛するという共通点で意気投合した。二人は映画愛好会を結成し、その後何年もできるだけ頻繁に会っていた。そしてサウンドトラック音楽が感情に与える影響に畏敬の念を抱いた二人は、スタジオに入り、同じくらい力強いものが作れるか試してみた。こうして5 Billion in Diamonds(以下5BiD)が生まれた。
 
2012年12月にロサンゼルスで行った初めてのレコーディング・セッションで多くの収穫を得た彼らは、グリロのDJパートナーをスカウトした。プロデューサーにしてキーボードの天才、アンディ・“スペースランド”・ジェンクス(Alpha、The Flies、White Bully)を迎え、グループ名を冠したファースト・アルバムの制作に取り掛かかり、作曲・編曲・プロデュースは共同で行った。
 
SSWのジミー・スピアリス、プログレッシヴ・ロック・ユニットのラマセス、USのサイケデリック・フォーク歌手のリンダ・パーハクス、007シリーズで有名な作曲家のジョン・バリー、クラウトロック、MPBの代表的アーティストのミルトン・ナシメント、ソフト・ロック・グループのザ・フリー・デザイン、BBCのラジオ、テレビ番組の為の音響効果などを担当していたエレクトロ技術者集団のBBCレディオフォニック・ワークショップといった、彼らにインスピレーションを与えた音楽へのトリビュートとして、5BiDは無名ながらも輝き続ける100の失われたアルバムのサウンドを再生。それらの要素のリミックスや再構築を行いながら、現代のテクニックや新鮮な音を織り込み、ロック、フォーク、サイケデリアによる、70年代初期を思わせる、太陽が降り注いでくるようなサウンドトラックを作り上げた。
 
ブリストルのクライストチャーチ・スタジオで行われたレコーディングには、ギタリストのアレックス・リー(Goldfrapp、Strangelove、 Suede), リズムセクションとしてベース・プレイヤーのショーン・クックとドラマーのデイモン・リース(Spiritualized、Massive Attack、Elizabeth Fraser) 、そしてAlphaの作品などでその声を聴く事が出来るヘレン・ホワイトら、ブリストルのシーンから選りすぐりの旅人仲間が参加を果たした。
 
ザ・サウンドトラック・オブ・アワ・ライヴスの大ファンであるヴィグとグリロは、そのシンガーである、ヴァイキング・ロック界の神エボット・ルンベリにスウェーデンのフェスティヴァルで偶然出会った。次に彼に出会ったのは、彼がサンディエゴでアーサー・リーのラヴ(『フォーエヴァー・チェンジズ』のオリジナル盤参加メンバー、ジョニー・エコールスとマイケル・スチュアートを備えていた)と共演していたときだった。5BiDのメンバーになる運命にあったように見えた彼は、その後間もなく参加を果たしている。
 
レコーディングはブリストルと、ロサンゼルスにあるヴィグのグランジ・イズ・デッド・スタジオで引き続き行われ、プロジェクトの進行に伴い、The Ocean Blueのシンガー、ギタリストのデヴィッド・スケルツェル、ピート・エイヴス (The High Llamas)、ダミアン・オニール (The Undertones, That Petrol Emotion)、ジャスティン・メルダル・ジェンセン(Beck, NIN)、そしてフルート奏者のヘレン・ウィテカー (The Leisure Society)ら様々なバンドやプロジェクトで活動を行っているミュージシャンがバンドの軌道に加わった。
 
作業が完成に向かう中、60年代のカルト・ヴォーカル・グループ、ザ・フリー・デザイン的な曲を計画した彼らは、今はカナダでアーティスト・教師として活動する同バンドのシンガー、サンドラ・デドリックに声をかけた。彼女が素材を気に入り、ヴィグの故郷ウィスコンシン州マディソンで行われたセッションで最後のトラックにヴォーカルを入れたとき、このアルバムは完璧な結末を迎えた。