アンティル・ジューン
ダン・バラード  Dan Ballard (guitars)

ダニエル・デンプシー  Daniel Dempsey (drums)

ジョシュ・バラード  Josh Ballard (piano, vocals)



バラード兄弟を中心としてUntil Juneのオリジナル・メンバーが、アリゾナ州フェニックスを去ったのは2001年。故郷を捨てて彼らが移り住んだ地は、全ての夢が眩いばかりに叶う街---あるいは全ての夢が無残にも打ち砕かれる街---ロサンジェルスだった。

“荷物をまとめ、学校も辞め、家族のもとを去り、全く何もないない状態でLAに来たんだ。音楽以外は何もない状態でね。”



彼らはまずJuuneというバンド名でハリウッドを中心に活動をし、何枚かのEPをセルフ・プロデュースでリリースする。メジャー・レーベルとの契約にどうにかたどりつけないかと、ありとあらゆる手段で自分たちを売りこんだ。ある時は某メジャー・レーベルのオフィスのフェンスをまたぎ、駐車場に停めてあった車に自分たちのフライヤーを貼り付けたりもした。そんな暴挙が功を奏したか、ある時メジャーレーベルとの契約にようやく辿り着くかに見えたが、あと一歩というところで契約の話は無効になってしまった。打ちひしがれたメンバーは、自らにデッドラインを課した。



「来年2005年の6月まで(Until June)に、何も起こらなかったら、もう自分たちの夢を諦めよう・・・」



そして2005年。とうとう春という季節が訪れかけた頃、彼らの夢は現実のものとなる。いくつかのレーベルからオファーが寄せられ、彼らのデッドライン直前のところで、Sony/BMG傘下のレーベルFlicker Recordsと契約が結ばれ、それを機にバンド名をJuuneからUntil Juneに変更。オリジナルのドラマーは個人的な理由でバンドを去ったが、ジョシュとダンの2人のバラード兄弟には新たに現在のドラマーであるダニエル・デンプシーが加わった。



Until Juneのデビュー・アルバム『Until June』はUSでは2007年4月にリリース。アルバムのプロデュースを手掛けたのはブライアン・ガルシア(Our Lady Peace, Kelly Clarkson等)。



自身のデビュー・アルバムに関し、バンドは以下のように語っている。

「僕たちは音楽で世界を変えたいと思っている。でもそれはヒット・ソングを作りたいっていうことではない。自分たちが持っているものを全て音楽に注ぎ込みたいんだ。音楽は僕らの全てだし、僕らは音楽にかけて生きている。そういう気持ちを僕らのレコードの中に感じてもらいたい。ライブでもね。僕らはいつでも100%で臨んでいるから。僕らが感じているままをオーディエンスのみんなにも感じてもらいたいんだ。」



そう語る彼らの音楽の根底にあるテーマは、“心の痛み”や“人とのつながり”、そして“希望”。

「全ての人たちが、生きてゆく中で“人とのつながり”を求めている。生活の中で、世界的規模の大きなニュースにもみんな関心を持っているけれど、でもやっぱり自分たちに大きく関わっているのは、人間同士の関係やつながり―その中でも、恋愛というものは生きてゆく上で最も大きく関わる人間関係だと思う。愛する人を失ったりして、深い悲しみを経験したことがあるなら、同じような人の痛みを感じることができる」

アルバムの冒頭“Sleepless”では、恋愛中の心の葛藤を歌う。



“愛しすぎると、失うことばかり恐れて、夜も眠れなくなってしまう。

目が醒めたまま、眠れない日々。

ただこの想いを伝えることが出来たなら・・・”



愛と孤独が隣り合わせである切ない事実を、美しいメロディにのせて歌い上げる。

愛と孤独は隣り合わせ。そして絶望と希望は背中合わせ。

「どんなにつらいことがあっても常に希望がある。希望というのはむしろ、全てを失ったときにこそ、見えるものだから。」



Until Juneは現在本国USをツアー中。LAでの辛く厳しい4年間、その町はありとあらゆる障害を彼らに叩きつけて来たが、その全ての苦しみが、今まさに報われようとしている。

「僕らは使いふるされたポップ・ミュージックをただ提供するだけのバンドにはなりたくない。僕らがバンドとして目差すことは、聴く人たちに質問を投げかけて、彼らがその答えを・・・出来ればより意味のある答えを、自分自身のために見つけ出してくれる手がかりになること。僕らは自分たちの音楽をちっぽけなものだとは思っていない。なぜなら、きっと人々に何らかの影響を与えて、勇気づけられるパワーがあるって信じているから・・・」