トーマス・ヘンゲルブロック(指揮)

 ヘンゲルブロックのトレードマークは、斬新なプログラミング、革新的な試み、型にとらわれない表現を恐れず、忘れられた名作を積極的に掘り起こしていく姿勢であり、現在もっとも注目される指揮者の一人である。
 1958年、ドイツのヴィルヘルムスハーフェン生まれ。ヴュルツブルクでコンラート・フォン・デア・ゴルツに、フライブルクでライナー・クスマウルにヴァイオリンを学ぶ。ユンゲ・ドイツ・フィルのコンサートマスターをつとめたこともあり、作曲家のヴィトルド・ルトスワフスキ、マウリツィオ・カーゲル、指揮者アンタル・ドラティの助手として研鑽を積んでいる。ニコラウス・アーノンクール率いるウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのメンバーとしても活躍し、音楽性に磨きをかけた。1985年、フライブルク・バロック・オーケストラを共同で創設し、当初はヴァイオリンを弾きながら、その後指揮者としてこのピリオド楽器によるオーケストラをヨーロッパ随一の室内アンサンブルに育て上げた(1997年まで)。
 音楽を朗読、演技、舞踊など他の芸術と結合させるという自らの理想を実現するために、ドイツ・バロック期の建築家であったバルタザール・ノイマンから名を取って、1991年にはバルタザール=ノイマン合唱団、1995年にはバルタザール=ノイマン=アンサンブルを設立し、ピリオド楽器および奏法・唱法を用いて小編成でモンテヴェルディからバッハにいたる声楽曲の理想的な再現を目指す一方、メンバーを増強して19世紀から21世紀までのさまざまな作品の演奏にも取り組んでいる。
 1995年から1998年までドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンの初代芸術監督、また2000年から2006年までフェルトキルヒ音楽祭の芸術監督をつとめ、2000年から2003年まではウィーン・フォルクスオーパーの音楽監督として手腕をふるった。
 1993年、ウィーンでのグルック「アルチェステ」上演を皮切りに、オペラ指揮者としての活動にも力を入れ、パーセルやモーツァルト、ヴェルディなどのスタンダード・レパートリーはもちろんのこと、ガルッピ、A.スカルラッティ、カヴァッリなどの知られざるオペラの復活上演に力を入れ、特に10年間にわたって定期的に招聘されたシュヴェツィンゲン音楽祭では高い評価を受けた。
 現在、オペラ、コンサート指揮者として世界中で活躍。パリ・オペラ座、マドリード王立歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場にも定期的に招かれている。数々の素晴らしいプロダクションで指揮を任されているバーデン・バーデン祝祭劇場でももはや欠かせない存在である。バイエルン放送響、ミュンヘン・フィル、ヨーロッパ室内管にもたびたび客演。2011年7月には、ワーグナー《タンホイザー》の新プロダクションでバイロイト音楽祭にデビューした。  2011/12年シーズンから北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者に就任している。
 録音にも早くから積極的に取り組んでいて、ドイツ・ハルモニア・ムンディ・レーベルには、フライブルク・バロック・オーケストラおよびバルタザール=ノイマン=アンサンブルを指揮してのバロック期からバッハにいたる幅広いレパートリーが録音されている。また北ドイツ放送響とは、シューマン(交響曲第4番[初稿])、メンデルスゾーン(交響曲第1番)、ドヴォルザーク(交響曲第4番、チェコ組曲)、シューベルト(交響曲第8番「ザ・グレイト」)、マーラー(交響曲第1番「巨人」)のアルバムをソニー・クラシカルに録音している。

オフィシャル・ホームページ  http://www.thomas-hengelbrock.com/