ザ・プリースツ
北アイルランドのローマ・カトリックの現役の神父3人が、2008年4月23日、ロンドンのウェストミンスター大聖堂にて世界的レコード会社の大手、SONY BMGと契約を結び、音楽的スターダムと職業的使命のミックスの第一歩を踏み出しました。もちろん、彼らは、現在の職を辞するわけではありません。

オヘイガン家の兄弟であるユージン神父(48歳)とマーティン神父(45歳)、そしてデイヴィッド・デラージー神父(44歳)は、それぞれ現在も敬虔な教区民の精神的需要に応えている北アイルランドのダウン・アンド・オコナー教区で、ともに同じ学校に通っていたころから育んできた大志を達成しました。

神の介入のありなしにかかわらず、その歌唱力で、レコード会社の重役の信頼を勝ち取って、2008年秋に全世界で発売予定のデビュー・アルバムで、たちまち売れっ子アーティストの仲間入りをするであろうザ・プリースツが正式に誕生。そのアルバムには「アヴェ・マリア」(Ave Maria)や「天使の糧」(Panis Angelicus)など、宗教と精神世界に着想を得た古典的な名曲が収録されます。

彼らのグループとしての奇蹟の才能は、彼らがベルファストのクイーンズ大学のギャロン・タワーの学校に所属していたとき、そしてローマのアイルランド大学で司祭職の訓練に従事しているときに発掘されました。ローマでさらなるヴォーカル・トレーニングを積んだ彼らは、しばしば法王の元に招待され、歌を披露しています。北アイルランドで司祭職に戻った後も、彼らは観客の要望と喜びのために、ともに歌い続けました。

昨年(2007年)、アイルランドのポップ・ミュージシャンと共演したさいにデモ・テープを作成。それがSONY BMGヘ共演者から送られました。彼らの音に痛く感銘を受けたSONY BMG傘下のEPICレコードのマネージング・ディレクター、ニック・ラファエルは、即座に長い秘密裏の契約交渉に入りました。その内容は、契約金として100万ポンド(約2億円)の支払いを彼らに約束するものでありました。

今年4月にロンドンのウェストミンスター大聖堂で署名されたレコーディングに関する契約書の内容は、例えば、教区民の葬儀を取り仕切らなければならない場合などに一切の宣伝活動、レコーディングの義務が免除されるというユニークな内容のものでありました。

また、特記事項として宗教的信条に反する公演、宣伝活動には一切従事しないこと、デビュー・アルバムがヴァチカン市国を始め、イギリス、アメリカ、ヨーロッパなどでリリースされることも契約に含まれています。

加えて、彼らはレコードの売り上げ収益の一定額を、彼らの選択するチャリティーへ寄付されることを契約条項として盛り込みました。

「素晴らしい音楽の才能に恵まれた彼らは、いかなる年齢や背景を持った人の垣根をも越えると信じている。彼らの品位は、その音楽に表れており、そんな彼らとあらゆる意味で特殊な契約を結ぶことができたことを喜ばしく思う」と、プリースツの3人の才能を認めたニック・ラファエルは語っています。



彼らは、すでにアメリカのテレビ局PBSと、北アイルランドのアーマーにあるセント・パトリック大聖堂でのコンサートの特番を交渉しており、今年の暮れには英ITVで彼らのドキュメンタリーが放送される計画もあります。

全世界が注目するザ・プリースツのデビュー・アルバムは、SONY BMGから2008年の秋にリリースされる予定です。



北アイルランドのローマ・カトリックの現役の神父によって結成されたザ・プリースツのメンバーは、以下の3人です。

ユージン・オヘイガン神父(Father Eugene O’ Hagan)、48歳。バリクレア、およびバリゴーワン教区の聖心教会、神聖家族教会に属する。

マーティン・オヘイガン神父(Father Martin O’ Hagan)、45歳。クシェンダン教区の聖パトリック教会(クライガ)、聖マリー教会、海星教会(カルラニー)所属。ダウン、コナー教区出身。

デイヴィッド・デラージー神父(Father David Delargy)、44歳。ハンナスタウン教区の聖ジョセフ教会、聖ピーター教会、ザ・ロック教会所属。ダウン、コナー教区出身。

ユージン・オヘイガン神父、マーティン・オヘイガン神父、そしてデイヴィッド・デラージー神父が初めて出会い、ヴォーカル・トリオとしての才能に目覚めたのは、アントリム州のデリーにある聖マックニッシー大学においてでした。ともに司祭職を目指す決意を固めていたため、仲間たちに“Holy Holy Holy”という愛称をつけられた彼らの才能にいち早く気づいたのは、学校の神父でした。

聖マックニッシー大学を卒業後、ベルファストの神学校にて職業訓練に入り、ユージン神父は英語とスコラ哲学、マーティン神父とデイヴィッド神父は、古代史とスコラ哲学を専攻しました。彼らは、その間にベルファストを拠点に活動する歌の教師、フランク・カッパー(大英勲章第5位)に師事しています。

ザ・プリースツの面々は、ローマの敬愛されるアイルランド大学にて訓練を修め、ユージン神父は7年、マーティン神父は5年、デイヴィッド神父は4年間、そこで学びました。

このローマ時代に、ユージンはセルジオ・バラニから歌のレッスンを受けるチャンスをつかみました。即座に3人の才能は、世に認められることとなりました。彼らは、ローマ教会の司会進行役であるローマ法王の個人秘書、マギー猊下から個人的に招待を受け、法王の聖礼拝において歌を披露しました。

ザ・プリースツのキャリアは、結局彼らがさまざまな特殊聖職者として北アイルランドに再び戻ったことで再び交差しました。現在、彼らはそれぞれが専任の教区司祭として教区民の教会への精神的需要に答え、カトリック社会の洗礼式や結婚式、葬式などの教会サービスにおけるすべての公式義務を務める人生を送っています。今回のSONY BMGとのレコーディング契約で、聖職者として多忙な日々を送る3人に、さらにアーティストとしての活動が加わったというわけです。