ザ・メトロス
両親が学生時代からの友人という環境から、ボーカルのソウルとリードギターのジャックの二人は“生まれた時からの友達”として自然と活動を共にするようになる。ソウルの父親はA&Mのレコードジャケットのデザインを手がけ、ジャックの父親はセッションベースプレイヤーを勤めていたという環境もあり、二人は15歳で音楽に目覚めて曲を書き始める。Freddi Hyde-Thompson (drums) 、Charlie Elliott (bass)をリクルートして前身となる“The Wanking Skankers”というスカバンドを結成。そして調度1年ほど前にセカンド・ギタリストのJoe Simpsonを迎え入れ、“コマーシャルを意識して”(ジャック談)The Metrosに改名。                                           

スカ、オイ・パンク、そしてリバティーンズとストロークス、更にリズム・アンド・ブルーズのサウンドとロンドン南東部に位置する彼らの出身地、Peckhamの環境が彼らの主な音楽的影響・要素であったが、それはソウルが彼の母親から父親の家に移り住んでから更に発展してゆく。ザ・スペシャルズやザ・クラッシュ、レイ・チャールズ、ボ・ディドリー、スクイーズ、イアン・デューリーやザ・ブロックヘッズ等のレコードに溢れた父親のベッドルームで、彼らは更にエッジのある、危険で不良っぽいアンダーグラウンドな質感、併せてカラフルなティーン・エイジらしいサウンドへと変化を遂げてゆく。 “オレらの書く曲は実際のオレらの生活と、想像の世界の両方なんだ”とジャックは言う。“Peckham(ロンドン南東に位置する街)は危ない地区だよ。俺たちが更に若かったころ(!!?)親父らとパブに行くと、イースト・ロンドンのドラッグ・ディーラーズばかりでさ。そういった超札付きのワルだらけの、不良のゴロつきがたむろするコックニーの飲み屋で飲んでたよ”。 といいつつも、彼らの歌詞にはシェ・ゲバラが登場したり、福祉の低下を嘆くフレーズがあったり、社会派らしきものも見られる・・・と思いきや”政治と音楽・・・ちょっと胡散臭くねえか?オレらは単にみんながパーティーでオレらのレコードをかけてくれてダンスして、楽しく過ごしてくれればハッピーさ“とはぐらかす。数々の警察沙汰の話しが多い彼らの歌詞から察する限り、彼らの”想像の世界“と”実際の世界“の境界線はかなり微妙なものであるが、事実としてソウルは、彼曰く”ヤなヤツ“だっという学校の先生のコンピューターを投げつけて学校を追い出されたという経験の持ち主らしい。”いや、今はみんなちょっとは大人になってるから“とは本人談(怪しいものだ)。まもなくレコーディング予定の彼らのデビューアルバムを聴けば、彼らがザ・スモール・フェイセズに始まり、マッドネス、スクイーズ、フラワード・アップそしてリバティーンズといった、生粋のワル系、しかし才気溢れる、ロンドン・ベースの伝説の面々の末裔であるということが解る。ご期待あれ!