最新アルバム『Hive Mind』リリース記念!最新インタビュー公開!
遂に発売を迎えたジ・インターネットの通算4枚目のアルバム『Hive Mind』のリリースを記念して、最新のインタビューを公開!
前作『Ego Death』がグラミー賞最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞を受賞したのをはじめ、多方面で大絶賛を受け、あなた方の世界的成功を決定づけた作品となりました。改めて振り返り、『Ego Death』はあなた方にとってどんな作品ですか?
マット・マーシャンズ(以下M):君も言ってくれたように、推進力になってくれたアルバムだね。あれのおかげで僕たちはものすごく注目されたし、自分たち的にもある程度のレベルに達することができたという手応えがあったんだ。あれがあったからこそ『Hive Mind』を作ることができたと思うね。『Ego Death』は僕たちのキャリアの中でも大きなステップだったと思う。
メンバーがソロ活動を経て再集結した本作が「Come Together」という曲で始まるのは、とても象徴的だと思いました。メンバー間の結束力はソロ活動以前と比べて高まりましたか?
M:そうだね、自分たちだけでもやれるっていう自信が生まれたと思う。勿論その力を終結させたときの強さも高まったと思うしね。で、誰かが羽根を伸ばしたいと思ったら飛び方を教えてあげることがお互いできるんじゃないかな。僕たちはいつもお互いをリスペクトし合っているからね。僕たちはユニットだけど、個人の集まりでもあるんだ。未来もそれぞれあるしね。ユニットとは言っても個人の集まりだから。
『Ego Death』の成功があったからこそ時にはソロ活動をしてみようと思えるようになったというのはあるでしょうか。
M:勿論!(即答)あの成功のおかげで自信が生まれたよ。僕たちの好きなタイプの音楽、心から興味を持っている音楽が受け入れられるってことが分かったし、バンドとしてどう効果的なものを作れるかも分かったしね。
ソロとグループ活動との決定的な違いは何だとお考えですか? またそれぞれの良い面と悪い面があれば教えてください。
M:うーん、悪い面は特に思いつかないなぁ。自然の流れでこうなった(ユニット→ソロ→ユニット)だけだからね。僕たちそれぞれが自然体の個人だから、一緒にいないときも普通に音楽を作っているんだ。特にギアチェンジをしている訳じゃなくて、自然の流れなんだよね。
つまり、グループ活動をしてソロ活動をしてまた一緒になって…というのは「そうしよう!」みたいに意気込んでやるという訳ではなくて、自然の流れだったんですね。
M:まぁ、そういうことだね。いつもそんな感じなんだ。ソロをやりたくなったらソロをやって、一緒にやりたくなったら一緒にやる。そういうやり方が今は確立されてきたから、これからもそれでいこうと思うよ。
「Come Together」のなかで歌われる、団結を強いる彼ら(they)の正体が気になりました。They gonna get us come togetherと歌っていますよね。彼らとは具体的に誰を指しているのでしょうか?
M:ああ、あれは世界だったり政府だったり。どんな文脈でもいいんだけど、自然に人が集まって戦うようにさせる衝突や葛藤だね。
団結はさせるけどそれぞれの違いを否定させるようなものということですか。
M:そうだね。みんな同じなんだから、みたいな。
歌詞の全体を見ていないんですが、曲のタイトルは「Come Together」で実際あなた方もふたたび集まった訳ですが、もしかしてちょっと皮肉も入ってる?
M:うーん…そこまではいかないけど、ダブルミーニングみたいな感じかな。でも間違いなく、それぞれのソロ活動から再び集結するという意味は入ってるよ。
みなさんがcome togetherするときはお互いの違いをリスペクトしているんですよね。
M:うん。僕たちはみんな違う個性を持っているけど、1つのユニットとして集結するんだ。
でも「they」というのは無理やりひとつにさせたがるんですよね?
M:まぁ、theyは誰のことでもあり得る話だよ。どんなコンセプトにも当てはまることがある。
本作はあなた方の拠点であるロサンゼルスをはじめ、ライブツアーで訪れたロンドンやシドニーなど世界中の様々な場所でレコーディングされています。特にAirbnbで借りた家をスタジオ代わりにレコーディングしている点が興味深いです。色んなところでレコーディングしたのは、それぞれの環境の違いを反映させたいと思ってのことだったのでしょうか。
M:そうだね。録音するたびにそれぞれの場所のヴァイブを感じることができた。同じところでずっとレコーディングするより面白いと思ってね。新しいことをやるときって、それまでとは違った気分になるだろう?いつもと違うものに囲まれているといつもと違う気分になれるしね。
また、Airbnbでの制作環境とその意図についてお聞かせください。
M:(笑)入るのも出るのも楽だからね。(笑)
(笑)確かに。
M:(笑)セットアップして、終わったらすぐ帰ればいいし。
どこか街に行って、「もしかしたらここでレコーディングすればいいかも知れない」みたいな感じで決めたんでしょうか。
M:いい家を見つけたら、よし、ここでやってみようかみたいな感じだったよ。すてきな街を見つけたらそこでやるか、みたいなね。
でもAirbnbの家っていうのは普通の「家」ですよね。スタジオみたいに大きな機材がある訳でもないでしょうし。
M:シドがポータブル・スタジオを持っていてね。どこでもセットアップすることができるんだ。彼女はそれをどこにでも持ち歩いているから、家に入ったらそれをセットアップして。
なるほど。
M:そう、ポータブルな機材を持ち歩いていて、録音できそうな場所を見つけたらそこにセットするんだ。
ではAirbnbがレコーディング場所になったのは「たまたま」だったんですね。
M:そうだね。
Airbnbの家でレコーディングしたかったとかそういう訳ではなくて。
M:そうだね。ただ、Airbnbは静かなスペースを手に入れるのに手っ取り早い方法だったんだ。
今回レコーディングしなかったものの、これから訪れてみたい都市や、レコーディングを行ってみたい場所やシチュエーションはありますか?
M:ないねぇ。僕たちはオーガニック(自然発生的)なものを大事にするから、わざわざお膳立てすることはあまりないんだ。それにもう既に結構色んなところを訪れてきたしね。特にアメリカでは。まぁ、ほとんどカリフォルニアにいるけど。特にどこに行こう!という必要性は感じないんだ。
本作では「Roll」をはじめ、ファンクやアップビートなサウンドがこれまでにない新たな魅力になっているように思います。これらのサウンドを取り入れたのは、フェス会場のファンの反応がよかったからだとお話されているのを聞きました(出典:MTV)。
M:そうだね。みんな踊りたがっているというか、エネルギーを感じたいんだろうなと思う。僕たちはスローなグルーヴが多いバンドだから少しテンポを上げて、ショウでもっと楽しんでもらえるようにしたんだ。
やはりステージで演奏されているときは、観客の反応を常に観察しているものなのでしょうか?
M:そうだね、僕は観客の反応に耳を傾けるようにしていて…
先ほどはファンクやアップビートなサウンドの話をしていましたが、ファンの反応とは別に、お好きなファンク/ブギーソングはありますか? また本作を制作する
際に参照された音楽はありますか?
M:いや、特に誰かのサウンドにヒントを得たという訳ではないんだ。基本的にはファンの反応を見て、こういう風にしようなんて思っていたよ。
今回、外部ゲストは一切なしで、曲によってスティーヴやパトリックなど特定のメンバーをフィーチャーした、あなたたちだけのアルバムになっているのが、ひとつのチャレンジだったと思います。
M:うーん、特にそういう風に意気込んでいた訳ではないな。そもそもバラバラに活動していたのがまたひとつに集まっただけだったからね。
セッションにはアミーネやアール・スウェットシャツらも遊びに来たそうですが、「外部ゲストを入れない」ということはアルバム制作にあたって最初から決めていたことですか?
M:まぁ確かに彼らは遊びには来ていたけど、彼らにアイデアを出してもらうとか、そういう訳ではなかったからね。
それとも、最終的に入れる必要性を感じなかった、ということでしょうか?
M:感じなかったね。それより自分たちの得たものを持ち寄ることの方が興味があった。
ただ、実際のレコーディングには第三者が参加している曲もありますね。個人的には7曲目の「Mood」がお気に入りです。この曲をはじめ、本作では複数曲でムーンチャイルドが演奏に参加しています。『Ego Death』のツアーでも彼らをサポートアクトに抜擢されていましたが…
M:そう、個人的にも仲がいいからね。
彼らのパフォーマンスを間近で観たことが今回の共演につながったのでしょうか?
M:そうだね、一緒にツアーしてとても楽しかったから、その時の雰囲気を再現できたらと思ってね。
また彼らの魅力は何だとお考えですか?このアルバムにどんなものをもたらしてくれたのでしょうか。
M:彼らの独特のヴァイブかな。それが僕たちのととても合ったんだ。
前作「Ego Death」に続き、今回も「Hive Mind」というタイトルがユニークです。本作のタイトルはアメコミのスーパーヒーローが着想元だそうですが(出典:Sway In the Morning)
M:まあね…(否定するでも肯定するでもないような口調)
同じように本やコミックス、映画などのエンターテインメント作品から創作の際のインスピレーションを授かることはありますか?
M:まぁ、そうだね。あのMarvel Comicの場合はストーリーの中で描かれている仲間意識に共感したんだ。クールだなと思ってね。
Hive mindという言葉自体が仲間意識を表す言葉らしいですね。
M:そう、集団としてのエゴを意識することだね。
なるほど、集団としてのエゴですか。メンバーと一緒に過ごすなかで、彼らとの間にhive mindを感じることはありますか?
M:勿論さ。同じ方向を見ているしね。
例えば同じ料理を注文してしまったり…
M:ああ、あるね。
同じ色の洋服を着てしまったりなど。
M:それもよくあるよ。(笑)
ところで日本のモデル、水原希子さんとお知り合いでしたよね?
M:そう、とても仲のいい友人のひとりだよ。
彼女はThe Internetが大好きだとよく言っています。MVに水原希子さんが出演すると聞いたのですが、本当ですか。
M:そう、今度出るビデオに出演するんだよ。
そうなんですね。どの曲ですか?
M:「La Di Da」。
どういった経緯で出演することになったのですか?
M:もともと仲がいいからよく話すんだ。だからいつかはビデオに出てもらいたいなと思っていて、何気なく訊いてみたら「ええ、勿論」と言ってくれたよ。それで撮影に来てくれたんだ。
彼女は新作をどのように楽しんでくれていますか。もう聴いたのでしょうか。
M:うん、少し聴かせたらすごく気に入ってくれてね。
MVはもう撮影したのですか。
M:うん、3日ほど前にね。
そうなんですね!何か面白いエピソードはありましたか。
M:すごく楽しかったし、何より色々スムーズに進んだよ。彼女はみんなにとても優しいし、とても地に足の着いた人なんだ。一緒にいて楽しいよ。
彼女は日本でもビッグですし、美しい人ですから、あなたのMVにすてきな要素をプラスしてくれるでしょうね。
M:そうだね!
「La Di Da」もそうですし、「Roll」をはじめとした、本作のダンスナンバーの生演奏にあわせて踊れる日を今から楽しみにしています。今年1月に来日されたばかりなので気が早いかもしれませんが、今後再来日ライブの予定はありますか?
M:まだ分からないけど、日本に行く機会は逃したくないね!みんなのお気に入りの場所のひとつであることは間違いないよ。キコとも仲がいいしね。
日本にはThe Internet以外にもプライベートで訪れることはありますか。
M:うーん、プライベートだけで行ったことはないけど、日本に行くときは勿論ショッピングとか色々楽しむようにしているよ。
屋外でのプレイはいつものクラブと違う雰囲気なのでしょうか。
M:今はクラブだけじゃなくて色んなところでプレイしているけどね。フェスにも色々出たよ。
日本の好きなところはなんですか?好きな場所などありますか。
M:東京と大阪くらいしか知らないけど、日本の全部に興味があるから、長い休みができたら回ってみたいね。
知っている日本のアーティストなどやミュージシャンはありますか?チェックしたりします?
M:うーん、たまに。最近はあまりよくチェックしてないけど、若い頃はTERIYAKI BOYZが好きだったね。あとFANTASTIC PLASTIC MACHINE。実は彼らの曲を聴いて、これこそ僕のやりたいことだって思ったんだ。
これからツアーがありますが、しばらくはグループでの活動に専念する予定ですか?
M:僕たちはいつだってグループだよ。ソロ活動をしているときもグループというのはいつも頭の中にあると思う。
質問は以上です。ありがとうございました。次の来日ではぜひショウに行きたいです。
M:きっと会えるよ!(笑)
最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
M:日本のファンは最高だよ!みんなは僕たちのお気に入りのファンなんだ。何年もサポートしてくれて本当にありがとう。次にそっちに行くまで新作を聴いてグルーヴしていてくれ!(笑)