デイリー・スミス(b)
マシュー・グウィルト(ds)
スチュアート・ジョーンズ(g)
クレイグ・ウェリントン(vo/g)

捉えどころのない奴ら、それがサンシャイン・アンダーグラウンド(TSU=The Sunshine Underground)。だって本当なのだ。このバンドはどんなにぎゅうぎゅう押し込んだって箱の中には到底おさまりきらないし、レッテルを貼ろうとしたってなかなかくっつきそうにもない。彼らをジャンル分けするなんて無粋な話で、そのまま受け入れるしかないのだ。とある名言を引用するなら「抗うな、感じろ。」

それでもどうにかジャンル分けしようとする人たちだっている。ジャーナリストは過去数年に渡り、この北部出身の一匹狼たちの人気沸騰ぶりを何とか説明しようと試みてはいるものの、結果は紛らわしいものばかりだ。サイケデリックと呼ばれたこともあるがそんなの明らかにお門違いだし、インディ・ダンスだけじゃ説明の半分ぐらいにしかならない。挙句の果てにリーズ出身バンドなんて呼ばれたこともって、事実ではあるもののそれじゃ何も伝わらない。同じくウエスト・ヨークシャー出身バンド、フォーワード・ラシアのメンバー、Whiskasが最初のライヴを宣伝してくれた上に、お互いDIY精神を共通していることはもちろんだけど。

「リーズ出身バンドの何が最高かってみんなバラバラなところなんだ。“シーン”って呼べるものは存在しないし、(リーズは)イギリスの中でもクリエイティヴ度が高い地域なんだよ」と語るのはスチュアート・ジョーンズ(G)。それに頷くようにクレッグ・ウェリントン(Vo/G)が続ける。「DuelsもPigeon Detectiveも俺たちとは全く異なるサウンドを奏でてる。みんな影響受けた音楽ってのがばかみたいに様々なんだ。“スタイル”は確立してるけど、同じサウンドの曲を続けて書くなんてすごく難しいって思うし。まあどうにかなるよ。制限なんてないからね。」

本当に? 「ああ、じゃあジャズ・ファンクには一線を引くってことで。」

TSUを一言で語るとしたら、中指を突き立てたばかデカい反抗精神の塊だろう。ケミカル・ブラザーズの曲名からとったバンド名を持つメンバー達はビートとグルーヴを愛してやまない。「俺たちはパーティー・バンドなんだ」とクレッグ。デビュー・アルバムの『レイズ・ジ・アラーム』』(Dan Kahuna、Steve Dubb、SegsそしてRobert Harderといった花形プロデューサー達とタッグを組み制作)の発表で、インディ・ロックが再びダンスフロアーの中心にまで巻き返し、お互いのジャンルを妥協することない素晴らしい作品に仕上がった。ドラムのマシュー・グウィルトとベースのデイリー・スミスは、ハッピー・マンデイズを彷彿させる猛烈なビートでとげのあるディスコ・パンク“Wake Up”や“Dead Scene”でリズム隊の存在を十分にアピールしている。しかし、TSUをニュー・レイヴとは決して呼べまい。メンバー達のDNAにはダフト・パンクが記録されているかもしれないが、ブラーやレディオヘッドを愛するインディ・キッズで、ソングライティングの腕前もなかなかのものだ。Zane Loweも大プッシュしている“Commercial Breakdown”や“I Ain’t Loosing Any Sleep”は、線の細い一般的なニュー・ウェーヴ・パンク・ファンクからは程遠く、ビッグで大胆でロックであることに恥ずかしさを微塵も感じさせない楽曲に仕上がっている。ダーヴズやミューズ、そしてマニック・ストリート・プリーチャーズのような緊張感と情熱溢れる最高のギターを味わうことができる。もしくはクレッグの言うように「(バンドには)良い曲って絶対必要なんだよ。いい感じのリズムを何年間も弾いてるだけじゃ飽きてくるからさ」ということになるのかもしれない。

分厚いコーラス、荒々しいベース・ライン、そして繰り返し続けるビート ── 地元ファンがTSUのライヴに惹きつけられた理由はもちろんこれだけではない。フォークとハードコアをめちゃくちゃに寄せ集めたようなサウンドがハードコア・ファンを熱狂の渦に巻き込んでいる。もう少し型にはまったようなミュージシャンなら声明を発表しているだろうが、TSUにしてみればオーディエンスを3メートルぐらい上を歩いているような気分にさせ、自分たちのサウンドをビリビリと感じて欲しいだけなのだ。そんな彼らは恥ずかしげもなく、自らをアップリフティング・バンド(高揚感のあるバンド)だと明言することもしばしば。「Nastyfestに出演した時のオーディエンスの写真を持ってるんだけど、それがさ、天井を歩いてるんだよ」と断言するクレッグ。このバンドはありふれた会場やありふれた時間帯でのライヴには目もくれず、即席のベースメント・レイヴでの深夜ライヴやスカボロの海岸地区にある風変わりなライヴハウスでの出演にばかり気がいくのだ。「その気がある人なら誰でも歓迎だよ。ライヴに参加して一緒に汗だくになる。それがルールなんだ。」(スチュアート)

「俺たちのライヴでは、オーディエンス同士が重なりあってるなんて状況は珍しくもないんだ。」とはクレッグ談。しかしTSUがドラッグ漬けの「サイケデリック・ヒッピー・バンド」(最近のとある記事では『マリファナとマッシュルームがエネルギー供給源のお祭り騒ぎバンド』というレッテルを貼られた)という意見をはねつける。このバンドはドラッグの危険性を理解しているし、他のバンドには宇宙のように無限に続くジャム・セッションを勧めている。「ライヴではやらないけどね。その楽しみはライヴ後の打ち上げまで取っておくんだ。」

『レイズ・ジ・アラーム』はドラッグのような効果をもたらしてくれるかもしれない。しかしそれは不安定で粗削りだ。3回目に聴く頃には、彼らのグルーヴに込められた怒りに気付くことだろう。矛盾が大好きなクレッグに言わせると「ダークで被害妄想の強い曲をみんなが楽しそうに歌ってるなんてさ」ということになる。

クレッグの書く曲はラヴ・ソングでもなく自らの経験を歌った曲でもないが、ソングライティングのインスピレーションにはまるで事欠かない。「俺ってすぐにイライラする性質なんだよ。テレビを少し見るだけでさ、ニュースに頭にきたり。」怒り溢れる“Commercial Breakdown”は、そういった背景から生まれた。「大切な問題から目を背け、セレブ雑誌だとかくだらないTV番組ばかりを見てる奴らに向けて書いたんだ。」“Wake UP”は、イギリスのレディオ4を髣髴っせ、さまようようにうなり続けるベース・ラインと"They try to pull the wool over our eyes and tell us everything's allright."という、うろたえるようなリフレインが印象的だ。

“I Ain’t Losing Any Sleep”は、小さな町に住むチンピラの怒りを歌っており、“Dead Scene”は、気取り屋で集団行動ばかりで人を見下したような態度をとるインディ・キッズを描いた曲で、曲中でクレッグは近所に住むそのキッズたちがターゲットだとばかりに銃の撃ち方を練習する。TSUがビール三昧の土曜の夜をテーマに曲を書くとしたら、翌日に訪れるであろうぼんやりとした日曜の朝も念頭に置いた曲が生まれるだろう。

バンドの歴史はかれこれ長い。6年前、Shropshireのカレッジで知り合ったクレッグ(Shrewsbury出身)と他のメンバー(Telford出身)は気が狂うほどイライラしていた。「とにかく何にもないところだったんだよ」。その後、マットが大学に進学するのをきっかけにして(授業に出ていたかはまた別の話だが)メンバー全員が北部へ移った。そして今ではイギリスのインディ・シーンで救世主ともてはやされている。しかし当人たちはそれに動じることもなく、相変わらずの生活を送っている。最近では、「アンダーグラウンド」と呼ばれるバンドでもスタイリストや100ポンドのヘアカットなんてのはざらであるが、TSUはそんなものまるでおかまいなし。Top Pop Of The Popsではなく、サッカーの試合を観に行く途中に見かけるようなどこにでもいるキッズ姿はまるで変わっていない。「俺たちはごく普通のガキでさ、そんなの問題外なんだよ。服装で自分を“表現”したい人がいるならそうすればいいと思う。でも俺たちはそんなこと構ってられない。」(スチュアート)

スターの座も彼らの関心には程遠い。ロック雑誌でたわ言をベラベラとまくしたてたり、タブロイド誌に掲載されるなんてどうでもいい話なのだ。彼らはただ、ストーン・ローゼズが持っていたファンとのつながりを自分たちも築き上げたいと思っているだけ。「純粋にパーティー精神でやってるんだ。4人のガキが集まって音楽を作りたいから曲を書いて、みんなが聴きたいっていうから他の人に向けて演奏するっていう。NMEの表紙になるとかほんとどうでもいいんだよ」とクレッグは語る。

それから一息ついて「スターになるのが目的じゃないんだ。それよりバンドを仕事にできるかどうかなんだよ。お金持ちになんてなりたくない。でも10年後にバーガー・キングで働いてるなんてのも勘弁なんだ。そんなの最悪だしさ。」心配はご無用。サンシャイン・アンダーグラウンドは上昇中だ。警戒しておくように!

June 2006(オフィシャル・バイオより訳)