イル・ディーヴォ
グループ名の“IL DIVO(イル・ディーヴォ)”とは、神のようなパフォーマー、もしくは男性版ディーヴァを意味するイタリア語。メンバーは、アメリカ、フランス、スイス、スペイン出身という国際色豊かな4人。2004年11月のデビュー以来、これまでのアルバム・トータル・セールスが、全世界で2,600万枚以上を記録し、ナンバーワンを50回以上獲得し、33ヶ国以上でゴールドまたはプラチナ・ディスクに160回認定され、画期的なワールド・ツアーを4回にわたって行ってきた。スイス出身のテノール、ウルス・ブーラー、スペイン出身のバリトン、カルロス・マリン、フランスのポップ・アーティスト、セバスチャン・イザンバール、アメリカ出身のテノール、デイヴィッド・ミラーからなるインターナショナルなカルテットである。イル・ディーヴォは2003年に結成したため、今年のアルバムとそれに伴うコンサート・シリーズは、4人のシンガーたちにとって、一体となって成功を収めてきた10年のキャリアを記念する1つの金字塔となる。


◆デイヴィッド・ミラー(テノール)・・・David Miller
1973年4月14日生まれ。アメリカ出身。

会話において、アメリカ人テノールのデイヴィッド・ミラーは、人間の声の成分や、グランド・オペラにおける意識下の底流についてですら
イル・ディーヴォの新作を誇りに思う理由と同様につつがなく語るだろう。だからといって彼が冷淡で分析力が強すぎるわけではない。デイヴィッドはむしろ真のユーモアのセンスの持ち主であり、本題から大いに脱線することを楽しむタイプなのは明らかである。そして彼は勿論、コロラドで育った10代の頃ミュージカル劇場(歌うことに恋に落ちた場所である)で初めて歌ったときや、オハイオ州のオバーリン音楽院で5年間オペラ声楽の高調波スペクトルを研究し分析していた頃と変わらず、声の感情を引き出す力に今も魅了されている。

イル・ディーヴォの音楽全体を通じて表現されている、声のコミュニケーション能力は、このカルテットのアルバムやライヴ・パフォーマンスに
今も没頭し胸を躍らせる理由の一つにすぎないとデイヴィッドは語る。
「人間の声は、どんな自然の共鳴楽器よりも表現のキャパシティが広いと思います」。
4つの声が一つになったりハーモニーを奏でたりするときにイル・ディーヴォが体現する自然の力について訊かれれば、デイヴィッドは音楽院で研究していたという音の構造の働きについて言及しながら答えるだろう。
「例えばトロンボーンが音符を奏でるとき…」と彼は続ける。
「(音声スペクトログラフで分析した場合)4つか5つのクリアな倍音を見ることができます。一方人間の声にはそれが何百もあるのですよ」。
人間の声が圧倒的に心に共鳴するのは、それの持つ膨大な複雑性にあるのだとデイヴィッドは言う。

彼はイル・ディーヴォがそのような力を持っていると直接的に言うには謙虚すぎる人物ではあるが、ファンは喜び勇んでそれを証明してくれるだろう。

オバーリンを卒業した彼はその後10年にわたり、北米、南米、ヨーロッパ、オーストラリアのオペラに出演することになる。さらにブロードウェイではバズ・ラーマン脚本によるプッチーニの「ラ・ボエーム」に主演することにより、ある意味ミュージカル劇への情熱を燃やし続けてきたといえる。
ハイレベルの技術的トレーニングを受けてきたにも関わらず、デイヴィッドはジャンルで音楽を判断する罠にはまったり、音楽の純粋主義に屈したりしてしまわないよう、ひたむきな努力を続けている。
彼にとってその鍵は常に、その音楽が自然なコミュニケーションや感情をもたらすことができるかにある。
そして彼は、今日は今までになく真のコミュニケーションが大切になっていると考えている。

「テクノロジーが発達して、情報が簡単に手に入れられるようになった今日、人間の注目が持続する時間はどんどん短くなっています」と彼はいう。「そして精神への注目が減っていくに従って、僕たちの心理的な“筋肉”が退化してゆくのです。同様に、今(言葉による)会話がどんどん減っていますよね。メールやSMSがコミュニケーションの手段として好まれています。でも、ヴァーチャルなコミュニケーションというものは、個人の自然な感情を欠いていることが多いのです」。イル・ディーヴォはその風潮を覆すのだと彼はいう。

「僕はいつも、みなさんが、イル・ディーヴォの音楽を正確にはどのように呼べばよいのかという質問に気を取られるよりも、僕たちの音楽に個人の感情を取り戻すかたちで反応してくれることを願っています」。
そのようなカテゴリー化は的外れだという。「僕はイル・ディーヴォをオペラとは呼びません。色々なスタイルをブレンドしたハイブリッドですね」。ブレンドでもハイブリッドでも好きに呼べばよいが、それは何百万人ものファンを勝ち取った融合体なのである。そこには魔法の方程式があるのだろうか?

「そんなに計算高かったことは一度もありませんよ」とデイヴィッドはいう。
「今までずっと1つの声、あるいは見方にもよりますが、4人の声がすべてです。僕たち4人の声が持っている色彩の幅広さは、1人の声では到底かないません。そして僕たちは4つのパレットを持ちより、1人では到底描き得ない大きなキャンバスに絵を描くのです」。

新作でのイル・ディーヴォは「勿論クラシックのテクニックを使っています」とデイヴィッドはいう。「そして何より、映画的な、ドラマティックな方向に転換しているのは確かですね。ある意味“オペラ的”な方向性が増しているといえます。映画は現代のオペラのようなものですからね」。
しかしオペラではないと?

デイヴィッドは笑うとこう答えた。「いや。コミュニケーション…感情…情熱、それがすべてですよ」。


◆セバスチャン・イザンバール(vox populi)・・・Sebastien Izambard
1973年3月7日生まれ。フランス出身。

イル・ディーヴォはインタビューの前夜にロイヤル・アルバート・ホールで行われたクラシック・ブリット・アワード授与式で「アーティスト・オブ・ザ・デケイド(この10年を代表するアーティスト)」賞を授与したかも知れないが、セバスチャン・イザンバールはそのような事実に浮かれるような人物ではない。

イル・ディーヴォが2003年に結成する以前、母国でポップス・アーティストとして既に大きな成功を収めていたフランス人シンガーの彼は、このカルテットが7年後の今も世界中のチャートで1位を獲得できる理由を極めて明瞭に語る。「世界中の賞を受けることはできるとしても、聴いてくれるオーディエンスがいなければ…賞を暖炉の上に飾っておくことは出来るかも知れませんが、それが何をもたらしてくれる訳でもありませんからね」。

4人のメンバーは全員、決して油断することはないとセバスチャンは続ける。「あって当たり前のものなど一つもありません。僕たちはレコード会社とマネージメントにとても恵まれています。チームワークが全てですからね。僕たちも長年の間にそれなりの批判を受けてきましたから、自分たちの成し遂げてきたことに気づかせてもらえるファンという経験が昨夜できて最高の気分でした。でも「一番の成果は、ファンのみなさんに会えることです。
しかも7年も経ってもまだ居てくれるのですから」。

ウルス、デイヴィッド、カルロスと同様、セバスチャンのイル・ディーヴォ以前の芸術人生もまたたぐいまれな多様性に満ちており、それは今も変わらない。彼は現状に甘んじたり、視野を限定したりすることができないのだという。
「アーティストとしては『これのやり方は分かる。大丈夫』と決しては思ってはならない、常に自問している必要があると思います。自虐的に思い悩むという意味ではありませんよ。でも、自分の弱みを認識しながら進化していかなければならないと思います」。
この1年半セバスチャンの生活は音楽活動を中心としてきたが、考えてみれば常にそうだった。

パリで過ごした辛い子供時代は、家族、友情、充実という人生における重要なものを大切にすることを教えてくれた。その姿勢は、インドやネパールの貧しい子供たちを支援するチャリティ財団、アシスタンス・メディカル・トワ・ド・モンドの資金集めに彼が長年携わっていることにも繁栄されている。ミュージシャンとしての教育を受けなかったセバスチャンは耳から演奏を学び、今では才能に溢れ尊敬を集める作曲家、ギタリスト、ピアニストとなった。イル・ディーヴォ以前には「リーブル」というポップス・アルバムをリリースし高い評価を得、シングル『シ・トゥ・サヴェ』はフランスの各チャートで1位を獲得した。昨年には両方の歌唱法のレッスンまで受けている。彼が現状に甘んじないというのはこういうことである。俳優としても。

「ロイヤル・アルバート・ホールに行くと」と彼は語る。
「絵画や写真がずらっと並んでいますよね。18世紀から、リアーナのような現代のシンガーのものまで。それを見ると、音楽がいかに大きな進化を遂げてきたかを実感するのです。伝統や音楽のルーツを忘れてしまうと、豊かさを忘れてしまうことになります。イル・ディーヴォでの僕たちの狙いはそこです。伝統に尊敬の念を持つことです。僕はポップス側出身ですから、逆行したことになりますね。他のメンバーはクラシックの教育を受けていますが、僕は独学です。自分の本能に従って動いています。でも両方が必要ですから、その知識をどうしても身に付けたくなりました。知識がなければ進化もありませんからね」。

ところで、歌や演技のレッスンよりも少しだけドラマティックな出来事が、セバスチャンの世界を一変させている。それは父親業である。既に自慢の双子がいる彼だが、さらに赤ちゃんも加わった。「僕の人生は完全に変わってしまいましたね」と彼は笑う。「最高の気分ですよ。ずっと家族が欲しかった僕が開花し、一緒に居たい人を見つけ、素晴らしい子供たちに恵まれました。家族が居て、世界中を旅して、音楽を作って、サヴェージ・ガーデンのダレン・ヘイズや作詞家のドン・ブラックとコラボレートして、イル・ディーヴォは素晴らしい新作を作って…これで幸運だと思えない訳がありませんよ。これ以上望むことはありません。」
セバスチャンによると、新作の制作に望むにあたり、イル・ディーヴォのメンバー4人はそれぞれ自問したという。

『どうすればより良いものを作れるだろう?』と考えました。イル・ディーヴォを新しいプロジェクトとして考える試みだったのです。このグループは時間的にも情熱的にも創造力的にも、全員にとって大きな投資ですからね。僕たちは船の船長ですから、船を走らせるのは僕たちの責任なのです」。一番の正念場は、アルバム制作にかけた時間だったと彼は続ける。
「燃え尽きてしまうのは実にたやすいことです。この業界のやり方に倣えば、一生ツアーしたり次のアルバムを作ったりして過ごすことだってあり得ます。そういう意味ではレコード会社に本当に恵まれていますね。時間をかけることや充電することも大事だと解ってくれていますから」。
充電の終わったセバスチャンは今にも駆け出さんばかりである。

「僕たちはアーティストとして情熱を持ち、素晴らしい音楽を作ろうとしています。それが僕たちの愛することですから」。


◆ウルス・ブーラー(テノール)・・・Urs Buhler
1971年7月19日生まれ。スイス出身。

この7年間のイル・ディーヴォの功績について最も誇りに思っているものは何かとウルス・ブーラーに訊いてみよう。過去のことではなく現在と未来について語るであろうところが興味深い。クラシックの教育を受けたスイス人テノールの彼にとって、音楽とは成熟、研鑽、完璧に向かって前進することなのだ。「僕たちは常に上を目指しています。もっと高いところを」と彼は語る。
「何か何か新しいことをするときは、前よりいいものにしたいのです。今のところずっとそうできていますから、とても満足していますよ」。

このたゆまぬ活動と探求の精神の種を蒔いたのが、ウルスの音楽的バックグラウンドである。彼は5歳の頃地元ルツェルンの合唱団に入り、同時にヴァイオリン、クラリネット、ピアノ、ギター、ドラムのレッスンを受けるようになった。彼は当時から既に型にはめることのできない少年だったのだ。

ウルスは音楽アカデミーの学生だった頃にもヘヴィ・メタル・バンドを率いている。
彼はのちにアムステルダム・スウェーリンク音楽院で声楽を専攻するためにオランダへ渡り、ザルツブルク・フェスティヴァルに出演し、ネザーランド・オペラをはじめ、ヨーロッパ中のオペラ・ハウスに出演するテノールのオペラ歌手として名声を得ることになる。

つまりウルスはアーティストとして現状に留まったり、安全圏に落ち着いたり、他者が主張するジャンル間の境界線を尊重したりしたことがないのである。
「僕は、自分の教育経験から」と彼は笑いながら語る。「クラシック的な観点から見てどれがいいサウンドでどれが悪いものなのかというのは分かります。でも、他の歌唱スタイルには、その視点が当てはまるものがどれ一つとしてありません。境界線が曖昧になると純粋主義者は苛立つでしょうが、曖昧にするのはいいことだと思いますよ」
彼が敢えて振り返るとすれば、それは現在のイル・ディーヴォと、4人のシンガーがヴィジョンの実現に着手するべく集結した2003年当時だろう。ウルスによると、当初の彼らはかなり手探りの状態で、それぞれが通常の守備範囲外のものをある程度扱っていたが、それが今はすっかり変わったという。
「私たちの寄与は本当に進化しましたね。特にこの新作においては。過去よりもずっと制作に関わっていると思います。思うに、それは自分たちの実力を証明できたからではないでしょうか。今は、何をやっているのか本当に分かっている者たちだと評価してもらえ、信頼をおいてもらえるようになりました」。

イル・ディーヴォが2008年のアルバム「プロミス」の宣伝を兼ねた世界ツアーを終えてから経過した1年半の間に、ウルスは購入したばかりの自宅の改装というもう一つの夢を実現させている。
「プライベートではスイッチを切るようにしています。田舎に住んでいるんです。周りには野原と山しかない、信じられないほど辺鄙な場所ですよ。自宅はとても古い家屋で、今改装しています。とても時間がかかりますが、本当に心が満たされますよ。改装は私が指揮を執って、近くの村にある小さな老舗の業者から、地元の人々に手伝ってもらっています。とても気に入っていますが、完成までには何年もかかるでしょうね。それから、ギターを弾いたりバイクに乗ったりするのも大好きです。どちらも熱心にやっていますよ」。
彼はイル・ディーヴォがもたらした恩恵に感謝してはいるものの、日常生活のすべてを決して見失いたくないという。「フェラーリは車庫に7台も必要ありませんよ。確かに大きな家を持っていますしバイクも数台ありますが、それで十分ですね。自分のなりわいや生き方に関しては、とても“禅”で安らかな気持ちなのです」。

新作の発表を目前に控えたウルスは、興奮や誇りを堂々と表す。
「サミュエル・バーバーの『弦楽のアダージョ』を改作したものをレコーディングして、新しいコーラスを付け加えました。信じられないほどドラマティックになりましたよ。アルバム全体もそんな感じです。クラシックの弦楽曲やピアノ曲に根ざした素材に手を加えてみました。例えばもう一つの新曲は、ベートーヴェンの『月光ソナタ』が基になっているんですよ。ハーモニー的にもいっそう興味深いものになるはずです。私たちがデビューしてからというもの、僕たちのようなことをやろうとする人々が続出しました。だからこそ私たちは変わる必要があったのです。そうしないと私たちにとってもオーディエンスにとっても面白くなくなってしまいますからね。クラシックの弦楽曲やピアノ曲に根ざした素材に手を加えてみました。例えばもう一つの新曲は、ベートーヴェンの『月光ソナタ』が基になっているんですよ。ハーモニー的にもいっそう興味深いものになるはずです」

長く変化に飛んだ音楽人生に新たな展開を迎え入れようとしているウルスは、イル・ディーヴォのファンがその結晶を聴くのが待ちきれないという。

「アルバムの発売にメンバー一同胸が高鳴っています」と彼はほほ笑む。「これまでの中で最高傑作だと思っていますよ」。


◆カルロス・マリン(バリトン)・・・Carlos Marin
1968年10月13日生まれ。スペイン出身。

スペイン人バリトンのカルロス・マリンにとって、イル・ディーヴォが他と一線を画す性質は何よりも一つに尽きるという。
「僕たちのマジックは、全員が違う国出身で、オペラ、ポップス、ミュージカル・シアターなど多彩なバックグラウンドを持っていることから来ていると思います。僕たちを真似ようとする人々にはそれがないのですよ。イル・ディーヴォがユニークなのはそこです。僕たちをまとめてシェイカーに入れれば、モロトフ・カクテル(火炎手榴弾の一種)のようにヴォーカルが大爆発しますよ」
カルロスの場合、彼がイル・ディーヴォにもたらす多様性はオペラ、ポップス、ミュージカル・シアター、舞台、テレビ番組の制作・演出、演劇を網羅している。

彼は生まれながらのパフォーマーを自認する。「初めて大勢の前に出たのは、生まれ故郷のドイツでした。まだ6歳でしたが、800人の前で歌ったんですよ。それ以来、立ち止まったことはほとんどありません」。カルロスは10歳になるまでに2枚のアルバムを制作し、イル・ディーヴォに加入する以前に舞台やテレビ番組で大人気のスターとなった。そのような事実は、このアーティストが自分のなりわいに全身全霊を注ぐたぐいまれな人物だという印象を強めるばかりである。

実際カルロスはその熱心さのあまり、イル・ディーヴォを離れた活動では新しい舞台作品に取り組んでいる。彼によると「タップ・ダンサーや大仰なミュージカル曲を起用した、オールド・スクールで本格的なスウィング作品」であり、元妻で歌手兼女優のジェラルディン・ラローザが主演するという。彼にとってジェラルディンと組むことは何ら不思議なことではないという。
「僕たちは今もこれからも友達ですからね。それに彼女はあんなに才能があるわけですから、コラボレーションを続けたくならないなんてことはあり得ませんよ」。

カルロスはイル・ディーヴォにも同様の新鮮で明確なアプローチをもたらすが、このグループが味わってきた成功に今も驚いているという。彼は「信じられませんよ」と笑いながら、時には「夢のような世界を生きているような」気がすると続ける。「何もかもが映画のように見えるのです。たまにふと考えるんですよ。『うわあ、俺はこんなに色んなことを成し遂げてきたのか』なんて。それが実際に起こっているとき、しかも自分に起こっているときは、忘れてしまいやすくなるんですよね。判断力を失ってしまうのです」。

オールド・スクールと言えば、カルロス自身も先年のスターのような服装や振る舞いをする。端正な身なりや身だしなみが過去の時代を彷彿とさせるのだ。彼はそのように形容されることを喜んでおり、パフォーマー兼エンタテイナーとしての自分の役割には、見かけも中味も常に最高の状態であることを求められると自負している。現代は控えめで弁明的な雰囲気を持つアーティストがあまりにも多いが、彼には似合わない。「これは仕事ではありません」と彼はいう。「情熱なのです」。彼が言わんとしていることはお分かりだろう。
僕が中途半端なものに気を取られる訳がない、オール・オア・ナッシングなのだ、と。
中庸などないのである。

イル・ディーヴォの新作について、カルロスは熱心にこう語る。
「制作では信じられない経験をすることができました。今朝初めてアルバムの全体を聴くことができましたが、進化を聴き取ることができるのです。大いに成長した音になっています。でもそれは、今まで以上に自分たちのやっていることがきちんと解っているからです。長い間一緒にやっていますから。メンバー同士の絆も、一体となってマジックを作り出していく力も、今まで以上に強くなっています」。