エタ・ジェイムス
1938年、ロサンゼルス生まれ。
祖父母に育てられ、教会で聖歌を唄う幼少期を経て、10代の頃からさまざまな女性ヴォーカル・グループに参加。そのうちの一つの「ザ・ピーチス」で、バンド・リーダーとして有名なジョニー・オーティスを訪ね、彼の推薦を受けてロサンゼルスのモダン・レコードでレコーディング。1955年のデビュー曲“Wallflower”がヒット。その後もR&Bのヒット曲が続き、リトル・リチャードと一緒にツアーすることになった。1960年にチェス・レコードと契約。“All I Can Do Was Cry”など、ポップスとブルースの両立を目指して、スマッシュ・ヒットを放つ。そして1961年の“At Last”はジャンルを超えたクロスオーバーなヒットになった。数え切れないほどの映画や、テレビ・コマーシャルのサウンドトラックに使われるスタンダード・ナンバーとなり、彼女の代表的なヒット曲ともいえる。2009年1月20日のバラク・オバマ大統領就任式のパーティで、ファースト・レディのミッシェル夫人とのダンスの曲として選ばれた事は、後世に残るであろう。ヒットが出るのとは裏腹に、ジェイムズの麻薬依存はひどくなる一方で、更生施設に入院した経歴もある。レナード・チェス亡き後も、長年チェス・レコードに在籍したが、1990年代中頃からPrivate Music/RCAに移籍し、ジャズやスタンダード・ポップスなどにも精力的に取り組み、ブルースの枠にとらわれることなくレコーディングを続けている。その結果として3度にわたるグラミー賞の受賞をはじめ、様々なアワードに輝くなど、70歳を越えた現在、『第2の黄金期』とも呼べる活躍を見せている。極度の肥満など病気と闘いながらもアーティストとしての精力的に活動しながら、1992年に来日したこともある。