Au/Ra (読み方:オーラ)
2002年5月15日生。現在16歳。
イビサ島出身。アンティグア島に在住

オフィシャルHP: http://www.heyitsaura.com/

 

オーラは他に類を見ないほどノマドなティーンエイジャーである。LAを頻繁に訪れる彼女は現地人の陽気なアクセントで英語を話し歌うが、実際には第3言語である。イビサ(スペイン)で生まれた彼女が最初に話したのはカタルーニャ語とドイツ語だった。この豊かな言語的・文化的バックグラウンドが、誰の心にも語りかけることのできる、煌めきを持つオルタナティヴ・ポップを16歳の若さで作る能力の一因となっている。
オーラの存在を際立たせるのはそのマルチリンガルな生い立ちだけではない。緑色の髪をしたシンガーソングライターはヒットしたデビュー・シングルを自ら書いている。そのシュールなポップ・ジャム「コンクリート・ジャングル」は世界で1,500万回以上ストリーミングされ、NME、ワンダーランド、ザ・ライン・オブ・ベスト・フィットから絶賛された。

 

オーラは生まれてから5歳までイビサで過ごした。母親(現地で育ったソングライター)と父親(ドイツ人のエレクトロニカDJ・プロデューサー)が出逢った場所である。現地の記憶はあまりないものの、彼女にはパーティの中心地として名高いこの島で暮らす者の太陽を浴びた穏やかな面影がある。その後イビサが子供を育てるのに適した場所ではないと判断した両親は、西インド諸島のアンティグア島に移住した。

 

「アンティグアで育って、今もそこで成長していて本当に良かったと思っているの」とオーラは内省する。「色んな意味で本当に地に足着かせてくれる場所なの。主なことのひとつは、何をするにも本当に待たなければならないということ。例えば、身体を洗いたいからといってただシャワーを浴びる訳にはいかないの。水が出てくるのを待たないといけない。第3世界の国だから。電気やインターネットにも頼ることができないから、より大きな視点からものを見ることができるのよ!」

 

子供時代、父親のトランスとテクノ・シーンにおけるバックグラウンドにより、オーラは幼い頃からクラフトワークのような独創性に富んだエレクトロニック・ミュージックのアーティストの作品に接していた。それらのシンセのメロディが、ザ・ネイバーフッド、アークティック・モンキーズ彼女自身のインディー・ロックや、アリアナ・グランデやラナ・デル・レイといったメジャーなポップ・アクトたちへの音楽的傾倒に織り込まれていったのだ。これらの多彩な影響の交差するところに、彼女が生み出すストーリー性のあるパンキッシュなエレクトロニック・ポップがある。オーラはインディ・ミュージックの歯に衣着せぬ率直性を保ちつつ、感情を湧きたてる魅惑的なプロダクションと融合させるが、「いつもポップを中心に置いている」という。

 

子供時代のオーラは自分自身にアカペラで曲を書いていた。ピアノは3年間弾き合唱団でも歌ったが、クリエイティヴ面で本格的に躍進したのは父親とのレコーディング・セッションだった。父親は「私が音楽業界に入ることにあまり気が進まなかった」とオーラは認めるが、押し切られる形で彼女のごく初期のトラックをプロデュースした。彼女は12歳で曲作りセッションのために海外の様々なスタジオを訪れるようになったが、大半の人間がティーンエイジを迎える前に夢にも見ないようなことを経験しても珍しいほど動じることがなかった。

 

曲を書くときについてオーラはこう説明する。「単語やコンセプトをひとつ思いついて、そこからそれに合う形容詞を一通り書いてみて、それからメロディをいくつか歌い始める、みたいな感じ。…大抵はストーリーラインを思いついて、実際のストーリーを局に入れ込むの」。そのような物語的な感覚は、推進力のある「コンクリート・ジャングル」に明白に現れている。「あの曲は初めて大都市に来たときの観点だったの」とオーラは振り返る。「本当に様々なタイプの人々がそこに住んでいて、誰が本当に自分のためになるのかを見極める必要があるってことに気づいたわ」。より一般的に言えば、この曲は都会生活の大量消費と、物質的な執着への批評である。オーラのストーリーは曲中の映画的なエピソードを通じて展開してゆき、歌詞は「廃棄された商業施設」や「アマゾン・プライム、世界の新勢力」のようなイメージでリアリティを爆発させるのだ。

 

それらのイメージと曲の中で織り合わせながら、オーラは人々がみな違っていていいということに声を与えることが自然にできている。賛歌的な「キックス」では彼女が「あなたにとって屑なものは私に取っては黄金。私たちは違う目的で読まれる本に過ぎない」と歌うなか、繰り返し続くまばらなパーカッションに合わせて激しく鼓動しながら進む。

 

シングル「アウトサイダーズ」では、世界中のティーンエイジャーが馴染みのある感情と彼女が格闘する。「いつも自分がアウトサイダーみたいな気がしていたの」と彼女は思いを馳せる。「人里離れたところで育ったからだけじゃなくて、昔からずっとちょっと内向的だったからでもあるわ。場に馴染める感がない人たちのための曲を作りたかったの。“ちょっとヘンでも大丈夫。自分が誰であろうと、よくある排他的な集団に馴染まないからというだけで、自分がその人たちより力が劣るって思うことはない”って言いたかったのよ」。

 

オーラの極めてビジュアル的で感情を揺さぶる歌詞には現実離れした感覚があるが、これは彼女がアニメやファンタジーのファンであることが影響している。スタジオ・ジブリの映画を貪るように観て育ち、宮崎アニメの顔がほころぶ不思議な世界に没頭するのが昔から大好きだった彼女は、自身の音楽のビジュアルな世界を具体化するのに同様のデザインを用いる。「私の頭の中では、音楽がアニメとして見えるの」と彼女は語る。「そういう映画の世界はすごく変わっているし、キャラクターもすごくたくさん普通じゃない特徴を持っているから、独特の形でヘンなのよね」。

 

愛情込めてつくられたアウトサイダー・ポップにより、オーラは自身のソングライティングにも同様の空間を作り出す。そこははみ出し者たちが居心地の良さを感じ、体制の外で成長すると同時に同世代の時代精神を持って語りかけるアーティストの視点から、リスナーが物事をじっと見る機会を与えられる場所なのだ。