スウォールン・メンバーズ
サン・フランシスコでソロ・アーティストとして名前を売り始めていたマッド・チャイルドは、故郷のヴァンクーヴァーへ戻ったときに、西海岸のアンダーグラウンドで当時のラップ・パートナーだったモカ・オンリーと共に急速に認知度を高めていたMC、プリヴェイルと出会う。互いの能力を認め合った彼らは、可能性の広がりを感じて結びついた。しかしそれからほどなくして、自身のサウンドを追及したいと感じたモカは、ソロの道を歩むことを決断。マッド・チャイルドとプリヴェイルはその後96年にサン・ディエゴで行われたB−BOYサミットに参加し、ヒップホップ界で最も尊敬を集めるグループ、Rock Steady Crewに手ほどきを受ける。そしてスウォールン・メンバーズは、Rock Steadyと繋がりを持つ3組のラップ・グループのひとつとなった。

その年グループとして初めてのレコーディングを開始した彼らは、これまで友情を築いてきた才能溢れるMCやDJ、プロデューサーたちとコラボレートを行った。製作したトラックのクオリティの高さを絶賛され、二人は作品のリリースをスタートする時期がやってきたことを確信する。そしてマッド・チャイルドのインディ・レーベル、Battleaxe Recordsから3枚の12インチ・シングルを発表。瞬く間に獲得したファンたちによって自らの地位を不動のものとし、さらにアンダーグラウンド支持者を増やして行くこととなる。この3枚のシングルは、スウォールン・メンバーズのデビュー・アルバム「Balance」(99年)のための基盤ともなった。「Balance」は批評家たちから絶大な評価を受け、今日までに世界中で5万枚を超えるセールスを上げており、新たなファンを獲得し続け、2001年のJuno Award(カナダ版グラミー賞)ではベスト・ラップ・レコーディングを受賞した。



続くセカンド・アルバム「Bad Dreams」は、スウォールン・メンバーズの進歩と成長を現すものであり、ゲストやコラボレーターたちには、Chali Tuna(ジュラシック5)、ダイレイテッド・ピープルズ、プラネット・エイジア、Son Doobie(Funkdoobiest)、Buc Fifty、The Alchemist、Joey Chavez、Kemoなどが名前を連ねていた。インディー系ラップ・アルバムでは驚くべき成功を遂げたこのセカンド・アルバムで、彼らは世界中で注目を集めるようになる。カナダ国内でプラチナムに達した要因となった数曲のヒット・シングルのおかげで、アンダーグラウンドだけでなく、より幅広い聴衆を得て行ったのだ。「Bad Dreams」は彼らに二度目のJuno Awardと、Muchmusic Video Awardさえもたらしている。

 

そんなスウォールン・メンバーズは、ファースト・アルバムのリリースからコンスタントにツアーを行い、世界中のメジャーなマーケットへ出かけ、15,000人以上のオーディエンスの前でパフォーマンスしている。サウンドもライヴ・ショーも雑誌のレビューで絶賛され、楽曲は民放でもカレッジ・ラジオでも常にローテーションを組まれている。また彼らのサウンドは多くの映画やTV番組、スポーツ・ヴィデオ、コマーシャル、ヴィデオ・ゲーム、コンピレーションなどでフィーチャーされ、すべてを併せるとセールスは何百万枚になるのかわからない。彼らはTV番組にも出演してライヴ・パフォーマンスを行い、さらにPVはMuchmusicやMTVだけでなく世界中のヴィデオ番組でヘヴィ・ローテーションを獲得した。

そしてサード・アルバム「Monsters in the Closet」ではさらなる飛躍を見せた。エネルギッシュなシングルや未発表曲、リミックスなどが含まれたこのアルバムは、「Balance」の本質を取り出し、それを「Bad Dreams」の磨かれた成熟さと組み合わせた作品だ。ゲストにはマルチ・プラチナムに輝くアーティストで長年の友人でもあるネリー・ファータドやダイレイテッド・ピープルズのEvidence、Joey Chavez、DJ Vadim、Paul Nice、Rob The Viking、Saukrates、Kemoなどが参加し、モカ・オンリーも再びグループに加わり、DJでプロデューサーのRob the Vikingもオフィシャル・メンバーとなった。



そしてスマッシュ・シングル「Watch This」を含む14曲のパワフルなトラックが収録された新作「Heavy」は、スウォールン・メンバーズが最も力を込めた作品といえるだろう。彼ら独自のファンク・ビートとパワフルなリリカル・スタイルで構成されたこのニュー・アルバムは、スウォールン・メンバーズの出発地点であるアンダーグラウンドと目の前にある未来のスターダムに橋を架ける役割をしている。そういう意味では今彼らは非常に重要な時期をむかえたといえるが、それだけではなく「Heavy」はラップ・ミュージック界全体に潜在的影響を与える作品になるのは間違いない。

常にファンたちにサウンドを提供するという使命に燃えるスウォールン・メンバーズは、ヒップホップからロックまで今日最もビッグなアーティストたちとステージを共にし、エネルギッシュなライヴ・ショーで世界中の聴衆たちを沸かせている。