スティーヴ・ヴァイ

少年時代
ニューヨーク出身。6歳よりオルガンを習い始め、後にオーケストラ用の譜面を作成するようになるが、レッド・ツェッペリンと出会い、ロックに目覚める。13歳の頃に、ギターを友人から購入、帰り道に立ち寄った楽器店で1セットの弦を購入、その足で当時地元の有名なギター講師だったジョー・サトリアーニの元へ弟子入り。

フランク・ザッパ・バンド時代
高校で楽典や音楽理論を習得し、バークリー音楽大学に入学。在学中に養った採譜力をかわれ、フランク・ザッパのバンドの採譜役として雇われる。1980年代(1980~83)には、正式にザッパのバンドにギタリストとして加入。ヴァイに与えられたセクション・ネームは“Impossible Guitar Part”であった。ライヴのソロ・コーナーで、聴衆やメンバーにミュージカルのスコアを持ってこさせて初見で演奏する芸を披露。ザッパとの活動を続ける傍ら、セッション・ミュージシャンとして数多のアーティストとも共演する。1984年に、初のソロ・アルバム『フレックス・エーブル』(後に『フレクサブル』に改題)を発表。

アルカトラス移籍からデイヴィッド・リー・ロスのバンドへ
1984年、グラハム・ボネットのバンド、アルカトラスに、イングヴェイ・マルムスティーンの後任として加入。
1985年、元ヴァン・ヘイレンのデイヴィッド・リー・ロス・バンドに加入。アルバム2枚に参加した後、脱退。かねてより構想を練っていたソロ・アルバムの制作にとりかかる。

ソロ活動
1986年、元セックス・ピストルズのジョン・ライドンのバンド、パブリック・イメージ・リミテッドのアルバム『アルバム』(CD版タイトルは『コンパクト・ディスク』)のレコーディングに参加(坂本龍一やジンジャー・ベイカー、ビル・ラズウェルらも参加)。
1986年、映画『クロスロード』で、悪魔に魂を売り渡したギタリスト“ジャック・バトラー”役で出演。終盤のギター対決では、テレキャスターを持ったギター少年“ユージーン”と壮絶なギター・バトルを展開する。(音楽監督はライ・クーダー、ヴァイもギターで参加)

ホワイトスネイク加入
1989年、元ディープ・パープルのデイヴィッド・カヴァーデイルが結成したホワイトスネイクに加入、アルバム『スリップ・オブ・ザ・タング』に参加。
続くワールド・ツアーにも参加。翌1990年に発表されたソロ・アルバム『パッション・アンド・ウォーフェア』はインストゥルメンタル・アルバムでありながら全米18位/全英8位を記録する大ヒット作となった。

ソロ活動への回帰
ホワイトスネイクのワールド・ツアーを終え、ソロ活動に復帰したヴァイは新人ヴォーカリスト、デヴィン・タウンゼンドを発掘し、バンド名義“ヴァイ”(Vai)としてアルバム『セックス・アンド・レリジョン』を発表。続いてアルバム『エイリアン・ラヴ・シークレッツ』、『ファイヤー・ガーデン』、『ウルトラ・ゾーン』を発表。『ウルトラ・ゾーン』の「エイジアン・スカイ」ではB'zと共演している。また、松本孝弘のソロ・アルバム、『華』収録の「#1090 [千夢一夜]」と「Romeo & Juliet」ではミックスを担当。
1994年、オジー・オズボーンのセッションに参加。このときのセッションからオジー・オズボーンのアルバム『オズモシス』に「マイ・リトル・マン」が収録される(作曲はヴァイではあるが、実際の録音は差し替えられた)。この年のグラミー賞を受賞。

レーベル創設
2000年、自身のレーベル"Favored Nations"を立ち上げる。
2002年、東京のサントリーホールで、野平一郎の“Fire Strings”のワール・ドプレミアとして東京都交響楽団と競演。この曲はエレクトリック・ギターと百人編成のオーケストラのための曲である。
2004年、マイクロソフトのXbox用シューティング・ゲーム『Halo 2』のメイン・テーマのギターを担当。また04年と05年に5回に渡ってオランダのメトロポール・オーケストラと共演、これは彼がオーケストラのために作曲した曲と自身の曲のオーケストラ用リ・アレンジ・プロジェクトで、07年『サウンド・セオリーズVol.1 & 2』として発表(Disc-1は共演、Disc-2はオーケストラのみの演奏)。
2005年、オリジナル・アルバム『リアル・イリュージョンズ』を発表。デイヴィッド・リー・ロス時代の盟友ビリー・シーン(B)参加。
2006年、ツアーでドゥイージル・ザッパと競演。『ザッパ・プレイズ・ザッパ』にも一部参加した。
2011年3月3日、母校であるバークリー音楽大学と提携し、NYのスタジオから30分間のギター・レッスンをライヴ・ストリーミングした。レッスンには4,455人がアクセスしたとギネス・ワールド・レコーズから認定され“Largest Online Guitar Lesson” (最大規模のオンライン・ギター・レッスン)のギネス世界記録を樹立した。
2012年8月15日にオリジナル・アルバム『ザ・ストーリー・オブ・ライト』を発表。2年に及ぶワールド・ツアー(52カ国/253回)開始。
2013年7月30日~8月2日、日本公演。
2014年7月7日~7月10日、日本公演。
2015年4月22日に『スティルネス・イン・モーション~ライヴ・イン・ロサンゼルス』(CD/DVD)を発表。
2017年と2019年には自身が主催する5人のスーパー・ギタリスト(イングヴェイ・マルムスティーン、ザック・ワイルド、ヌーノ・ベッテンコート、トーシン・アバシ)による競演イヴェント“Generation Axe”ツアーで来日。

●過去3度のグラミー賞受賞に9度のグラミー・ノミネーション、米ギター・プレイヤー誌では5年連続で「最優秀ロック・ギタリスト」(86~90年)に、米ギターワールド誌が12年に発表した「史上最高のギタリスト」では10位に選出されるなど、30年以上にわたりロック・ギタリストの最高峰であり続けている。