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 「今までのなかで一番完成されたアルバムにしあがったよ。今のR&Bのエッセンスを詰め込んだんだ。」と言うRL。T-ロウが続ける。「デビュー・アルバムみたいな気持ちで作ったんだ。J Recordsからの第1弾リリースってこともあったから、次のレベルへと進まなきゃいけなかった。聴いてもらえば俺たちがばっちり宿題をやってきたってことがわかってもらえるはずさ。」

 サード・アルバムとなるこの『The Next Episode』にはグループとしての新たなエネルギーと結束力がつまっている。「Your Love Is」のようなスムーズ・グルーヴからRLが「ゲットー・クラシック」と呼ぶバラッド「Lights Out」やスロー・ジャムの「All Because Of You」や「Freaky Man」、さらにはアップな「Do Your Thing」や「I’m Tryin’ To What」までそのエネルギーは途切れることがない。

 「ここ数年色々あったからね。」とT-ロウは言う。「アリスタからJレコーズに移籍したし。俺は3度も喉の手術をしなきゃいけなかったしね。もう自分のキャリアは終わりだと思ったよ。RLがソロ・アルバムを出した時はグループが解散するなんて噂されたし。だからこのアルバムは俺たち3人にとってとても重要なんだ。精魂込めて作ったし、俺たちも成熟して成長したからグループとして何ができるかっていう面で新たな視点から取り組めたよ。」

 アルバムではRLが多くの曲でグループの育ての親である元ノーティ・バイ・ネイチャーのケイジーと彼の新しいパートナーであるウォルター・ミルサップとともにプロデュースまたは共同プロデュースに関わっている。「ファンに違和感を与えないアルバムにしつつ、フレッシュでひねりのきいたものにしたかったんだ。」とRLは言う。「いままででクリエイティブ面で最も関わったから音楽的にどんなアルバムにするかっていうビジョンを描きながらつくることができたよ。」

 この『The Next Episode』ではさらに成長したグループのボーカル・スキルも堪能できる。「アウトドアで気分よくやろうっていう調子の曲」とトゥイーティの言う「Feels Good」。「Hold Me Down」は「自分たちが有名になる前からサポートしてくれたホームボーイたちに捧げた」という曲。「Girl, Lady, Woman」は「行動はレイディなんだけどハートは女の子っていうすごく強い女性に関する曲」とRLは言う。

 他のメンバー2人がこれまでで最高のT-ロウのボーカル、と絶賛するのはバラッドである「It’s Okay」だ。T-ロウは言う。「リード・ボーカルをとったんだけど、最後まで自分の声で歌いつづけることで、(喉の手術から)俺は帰ってきたぞ!って言いたかったんだ。」「Brand New」ではトゥイーティが彼のボーカルを存分に披露する。「だれかと付き合ってるときに、その相手がいることをあたり前だと思っちゃいけないって歌だよ」とトゥイーティは語る。

 全米No.1となった「Too Close」や「I Still Love You」がヒットした1998年のデビュー・アルバム『Rated Next』、「Jerk」や「Wifey」がヒットした2000年の『Welcome II Nextasy』という2枚のアルバムで彼らは混沌とするR&Bシーンをリードするグループというだけではなく、POPマーケットにもクロスオーバーするグループとしての地位を確立した。「特に他のグループをライバルとは思っていないよ。みんなそれぞれ良いところがあるからね。ただ俺たちも含めて10年くらいシーンにい続けないと生き残ったとは言えないんじゃないかな?」というT-ロウ。

 彼らの運命を決めたのが1995年のケイジーとの出会いだ。ミネアポリスで1992年からグループとして活動していたT-ロウとトゥイーティの兄弟は教会のコーラスでディレクターをしていた叔父の紹介でRLと出会う。意気投合した3人はT-ロウの教母である元サウンズ・オブ・ブラックネスのアン・ネズビーのもとでリハーサルをするようになる。その後ジミー・ジャム&テリー・ルイスのレーベル、フライト・タイム所属のR&Bグループ、ロー・キー?と知り合った彼らはすぐにフライト・タイムのスタジオでデモ作りを開始。そのデモが当時ノーティ・バイ・ネイチャーのメンバーだったケイジーの手に渡り、ケイジーが設立したレーベル、ディヴァイン・ミルズと契約することなる。そうしてリリースされたデビュー・アルバム『Rated Next』がアメリカン・ミュージック・アワードなどを獲得する大成功となり、グループはメアリー・J・ブライジやアッシャーとともに全米ツアーも成功させたのだった。

 そんな彼ら3人の全員が今回の『The Next Episode』が今までで最高の出来だと確信している。「多くのすばらしい曲がつまったすばらしいアルバムをつくれて本当に幸せだ」とトゥイーティは語る。RLはこう締めくくる。「今度のアルバムは俺たちの過去を反映している現在のR&Bで、俺たちの未来を明るく照らしてくれるんだ!」