ボーイ・バンドの飽和した現在R&Bミュージック界では、誰が誰であるかを把握していくのが困難な状況である。しかしジャギド・エッジの面々は、確固たる個性を持ち競争を押しのけながら自分達にしか出せないカラーを打ち出していくことにおいていつも成功を収めてきた。大ヒットを記録した過去2作 - 1998年のRIAAゴールド認定アルバム『A Jagged Era』そして2000年のマルチ・プラチナ・ディスク『J.E. Heartbreak』 - を引っ提げ、リチャード・ウィンゴ、カイル・ノーマン、そして双子のブライアンとブランドン・ケイシーは、3作目となる『Jagged Little Thrill』で再び、世界に真のR&Bのサウンドとはどういうものであるかをスキルフルに見せつけようとしている。ジャギド・エッジのこれまでの仕事で最も感動的なものになるであろう本作の、R&Bの“さらに高いレベル”としか言い表せないような仕事を目の当たりにするファンに向けて、リード・シンガーのブライアンは「このアルバムでは何も気にせず、恐れずに言いたいことを言ったんだ」と語る。



『Jagged Little Thrill』で聴かせる物おじしない発言の数々は、グループの成長の証しであり、R&B界の伝説的アイコンの人名録に載るだけの評判を確約するものになるであろう。「自分達が作りたいと思うような音楽を作りながら、これまでの曲よりもメッセージ性のあるものにしていけるってことに気付いたんだ」とブライアン。「曲はホットなままで、長い間誰も言っていなかったようなことを口に出すことだって出来るんだ。時代の先端を行くような、最高にイカした曲の上でね」



『Jagged Little Thrill』は聴くものを感情的で刺激に満ちあふれた音世界へと誘う。「Respect」のようなハイライト曲では、家庭内暴力やそこで起きる非礼についての問題に触れている。「自分の連れ合いを殴るような男は尊敬できない/子供を放ったらかしにするような馬鹿共は尊敬できない/俺は自分の家族の面倒を見たいんだ/正しいことをしようとしないならお前を尊敬できない」のようなラインは、「Let's Get Married」で感動した恋人達を教会の祭壇に向かわせた時のように、人々にインスピレーションを与えモティヴェーションを授けることになるだろう。そして「Respect」が男達に警告を与えると同時に、Gary "Gizzo" Smith(「Promise」)のプロデュースによるタイムレスなトラック「Head Of Household」では、世の善良な男達をレプリゼントし、自分の彼や夫の傍らに立つことを女性達に促す。「こういう曲を書く時は自分達の心の奥底まで掘り出すんだ」とカイル。「リアリティがあってエッジのある曲を書こうと誓ったんだ、ただファンキーでその場の気分によるようなものじゃなくてね」



この前向きな姿勢が『Jagged Little Thrill』に背筋を震わせるような興奮を与えているのだ。過去のジャギド・エッジの情熱的なラヴ・ソングがファンの心へ鳴り響き、またビルボード・チャートのトップへと邁進したのと同じように、『Jagged Little Thrill』もまたこのカルテットのトレード・マークである心震わすバラードが詰まっている。ドリーミーな「Can We Be Tight」や、ASCAPの“ライター・オブ・ザ・イヤー”であるジャーメイン・デュプリ(5年間で3度目の受賞)のプロデュースによる、涙を誘う「Goodbye」、そしてSESACのライター・オブ・ザ・イヤー、ブライアン・マイケル・コックス(ヌーンタイム・キャンプ)作の「Remedy」など、非のうちどころのないトラックで、ハートブレイカーのJEがレイディーズを絶妙に愛撫する。そして深みに達し、インスピレーションを与えて聴くものを恋に落とした後で、ジャギド・エッジは楽々と軽妙なトーンに切り替えることが出来るのだ。ネリーをフィーチャーしたファンキーなファースト・シングル「Where The Party At」を聴けばリスナーはダンス・フロアで腰を揺らし、リュダクリスが参加した制御不能のクラブ・バンガー「Cut Somethin'」やトリーナをフィーチャーした「I Got It」も興奮をますます掻き立てる。エグゼクティヴ・プロデュースにジャーメイン・デュプリ、そして共同プロデュースを自分達自身で手掛けた『Jagged Little Thrill』は、また一つ年を取ってより自信に満ち、そして焦点を絞って情熱的に制作してきた成果があらわれている。ウィンゴ、カイル、ブライアンそしてブランドンが貴方をめくるめく音の旅に連れ出すであろう。アルバムの始めから終わりまで、『Jagged Little Thrill』は彼らをトップまで一直線に導くような素晴らしい音絵巻であることに疑いの余地はない。



教会の聖歌隊でヴォーカル・スキルに磨きをかけた少年時代を経て、ジャギド・エッジはジョージア州アトランタで結成された。コネティカット出身のブライアンとブランドンはピーチ・トゥリー・ステイト(註:ジョージア州の呼称)に移り住んだ後に、カイルと他の音楽仲間数人と知り合った。最初、彼らはマイケル・ビヴンズのビヴ・テン・レーベルと契約をする運びになっていたが、結局は実現しなかった。そして変化が起きたのだ。エクスケイプのキャンディがグループにウィンゴを紹介し、レーベルを探すべくデモ・テープが蒔かれ、このカルテットのアカペラ・パフォーマンスを耳にしたジャーメイン・デュプリはすぐさま4人の魅力的なクルーナー達を自身のソー・ソー・デフ・レーベルとサインさせたのだった。いつもグループ内で作曲をしてきたジャギド・エッジは、最初から際立って個性を発揮してきた。「いつも自分達で作曲をしてきたんだ。ジャーメインは俺達を信用してくれたんだ」とカイル。「彼は他のグループとはそういうやり方をしていないからね」 そしてアルバム3枚をリリースした後も、ジャギド・エッジはヒットを放ち続け、これまで踏み入れたことのなかった領域について書くことも、冒険してみることも辞さない勢いである。「時は変わるものだし、俺達はいつもフレッシュで新しいままでいたいんだ。自分達の生活の中でまさに起こっている出来事を反映するリリックを書くのさ」とウィンゴ。「音楽の肉であるリリックが無けりゃ意味がない。だからいつも向上していこうと努力しているんだ」



『A Jagged Era』は4人の知られざる才能の巣立ちだった。そして『J.E. Heartbreak』のダブル・プラチナ獲得により彼らは音楽勢力地図の上に名乗りをあげた。しかしこの『Jagged Little Thrill』は、ニュー・エディション、ジョデシ、そしてボーイズIIメン等のようなクラシックなR&Bアクトの仲間入りを意味することになるだろう。『Jagged Little Thrill』で確かな成熟ぶりと自信を見せつけ、この4人の男達は実に効果的に自分達の思っていることを口にしながらも、その全ての曲の上で聴くものをいつも釘付けにしてみせるのである。