デニス・マツーエフ
1975年、バイカル湖沿岸の都市イルクーツクの音楽一家に生まれる。4歳でピアノを始め、たちまち素晴らしい才能を現す。音楽教育はイルクーツクの芸術学校に始まり、その後モスクワ音楽院のセメンツォワ女史の下、イルクーツク音楽学校に学ぶ。1984年、9歳の時にハイドンのピアノ協奏曲でデビュー。

 1991年、モスクワ音楽院附属中央音楽学校の9年生に転入し、ピャセツキーのクラスで学ぶ。積極的なコンサート活動と学業を両立させながら、ロシア各都市、諸外国で演奏。音楽学校在学中に、南アフリカ共和国のローデンポート国際音楽コンクールでグランプリを獲得。

 1994年、モスクワ音楽院に入学し、アレクセイ・ナセドキン、セルゲイ・ドレンスキーに師事。ドレンスキー教授は、「完璧な技術と表現力は目覚しく、とても聡明で、才能に恵まれた生徒」とマツーエフを評している。マツーエフの名は、当時のエリツィン大統領によりゴールデンブック「New Names」に加えられ、40ヵ国以上で演奏活動を行い、大成功を収める。

 1998年、第11回チャイコフスキー国際コンクールで優勝。以後、世界各地でリサイタルを開き、また著名な指揮者や主要オーケストラとの競演を重ねている。音楽祭や芸術祭への参加も多い。現在は年間120回以上のコンサートに出演し、目覚しい活躍を行っている。

 レパートリーは広範囲にわたるが、リスト、シューマン、ショパンといったロマン派の音楽が最も素晴らしい。ジャズにも興味を持っており、彼自身の作曲したジャズ作品やよく知られたジャズ作品の独自の即興演奏がコンサートのプログラムに組まれている。

 2003年より、BMGロシアと録音契約を結び、伝統あるRCA Red Sealレーベルより新録音が発売されている。リストの「ダンテを読んで」、メフィスト・ワルツ、ハンガリー狂詩曲第2番、ビゼー~ホロヴィッツ編の「カルメン」変奏曲、ロッシーニ~ギンズブルク編の「セビリャの理髪師」の主題による幻想曲を収め、『ホロヴィッツに捧ぐ』と題された小品集、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」からの3楽章とチャイコフスキーの「四季」を収めたアルバムに続き、当アルバムは3枚目の録音となる。