ダ・ブラット

ダ・ブラットの2ndアルバム『Anuthatantrum』から3年が過ぎたものの、彼女は他の多くの女性対抗旗手よりも遥かに画面をにぎわせてきているのだから。マライア・キャリーやミッシー・エリオットらのトップ10シングルにそのフロウを添えたり、MTVでのセレブレティ審査員としてフィーチャー、または人気番組「TRL(トータル・リクエスト・ライヴ)」のホストを務めるなど、このシカゴ出身の女性ラッパーはいつもスポットライトを浴びてきた。去年の「ソウル・トレイン・アウォーズ」で見せた拍手喝采のプレゼンテーションや、UPNで高視聴率を記録した「ソース・アウォーズ」で仲間のヒップホップ・アーティストに敬意を表した彼女の小生意気なダイアログを誰が忘れることが出来ようか? ローテーションにかかった最新CDなくしてのこれらの主要メディア露出とは? 3枚目のアルバムとなる『Unrestricted』をリリースしたらこれが一体どういうことになるのか、想像してみるがいい。…ダ・ブラットは全てを曝け出しているのだ。ミリー・ジャクソンの同名のアルバム(彼女はイントロで数ラインをドロップしてくれている!)からタイトルを拝借した本作では、ブラットは肌をうんと露出しているだけでなく、リリック面でも見せびらかすところが沢山あるのだ。



デカTシャツにバギージーンズ、そして三つ編みといったあのルックスが永遠に消滅した訳ではないが(あれはブラットの典型的スタイルなのだ)、セクシーなCDカヴァーを一目見ただけで、どんなグルーヴが期待出来るかの大きなヒントになるだろう。デブラ・キリングスをフィーチャーした、喉の乾きを癒してくれるような「Pink Lemonade」と、タイリースを迎えたエッチな「What'chu Like」を聴いてみて欲しい。そうすればX指定、もしくはR指定の絵図が浮かんでくるだろう。



しかし彼女は女らしい曲線やレーシーなリリックを見せつけているだけではない。このエッジの利いた魔性の女は、トレードマークのあの火を吹くようなライミングを忘れたわけじゃないのだ。彼女のサグ・パッションに捧げるオード、「That's What I'm Looking For」を聴けば、彼女がセックス・アピールのためにそのリリカル・スキルを手加減したわけではないことがすぐに分かるだろう。「ルックスを良く見せようとするだけじゃなくてリリックがちゃんとしてなきゃ駄目なんだからさ」と25歳になるダ・ブラットは言う。「成長したってことを見せなきゃね。同じことばっかやっておきながら、見てくれが良けりゃちゃんと仕事しなくてもいいんだなんて言ってられないんだから。大事なのは音楽ってことよ。だけど誰もあたしのリリックにケチはつけられないわよ、どんな女でもね、悪いけど。あたしはちょっとうぬぼれ過ぎかもしれないけどね」と彼女は笑う。「だけど誰かがそうじゃなきゃいけないでしょ!」



ダ・ブラットに欠けていないクオリティは、自信だけではない。彼女には豊かなクリエイティヴィティがあるのだ。ずっと自分のライムを書いてきただけではなく、かのソウルフルな歌姫、ケリー・ブライスの「Runnin' Out Of Time」でダ・ブラットは情感溢れるフックまでも書き下ろしているのだ。「自分や友達が経験してきたことを思い出したりしてたら、自然と沸いてきたのよ」



もちろん彼女の“ビッグ・ブラザー”ジャーメイン・デュプリが『Unrestricted』の大半のファンカダファイドな曲を手掛けているが、その中にはJDとリル・ジョンをフィーチャーしたソー・ソー・デフの新しいテーマ・ソング「We Ready」や、スティール・ドラムの映える言葉の暗殺曲「Fuck You」、そしてジャ・ルール参加の「Back Up」などが挙げられる。しかし彼女のシカゴからの仲間である、新進のプロデューサー、アーロン・“ザ・ヒットマン”・ピットマンをこのプロジェクトに紹介したのはダ・ブラット本人の一存である。このサウス・サイドのプロデューサーは「Breeve On Em」そして「Runnin' Out Of Time」を手掛けた。彼は「Breeve On Em」にダ・ブラットと共に登場するさらなるシカゴ出身のMC、22と共に、彼女のエンターテインメント会社であるスローイン・タントラムスの一員でもある。



その才能と美貌の両方を見せつけるべく、ゆっくりとその覆いを剥がしているダ・ブラットであるが、それでもこの史上発のプラチナ獲得女性ソロ・ラッパーには、ファンの度胆を抜くだけの荒々しいロウな魅力がまだぎっしりと詰まっているのだ。彼女は文句なしにフェミニンでいながらもハードコアな表現が可能な完璧なフィーメイルMCなのだ。「何があってもあたしはいつまでも昔のままのブラットだよ」と彼女は言う。「ずっと祈り続けていくんだ。顔から転んだとしても、頭は高くあげていくよ。自分で立ち上がるから。そして学んで、一からやりなおせばいいんだ。あたしは諦めることだけはしない。この3作目は、残りの人生をキック・オフするための新しいアルバムみたいなものなんだ」 『Unrestricted』の到着を控え、ダ・ブラッタ-タ-タ-タの人生は見晴らし良好である。