ベルリンフィル12人のチェリストたち

ベルリンフィル12人のチェリストたち プロフィール

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ・セクション全員で構成されるアンサンブル。結成以来、四半世紀を越えて国際舞台で例外なしの成功を重ねている。「12人」は、1966年のベルリン・フィル日本公演旅行中、チェロ四重奏がNHKなどで演奏したのがきっかけとなり活動を開始、1972年オーストリア放送協会の依頼により、ザルツブルクでクレンゲルの《讃歌》を演奏した際、「ベルリンフィル12人のチェリストたち」を名乗り、正式に誕生した。「12人」の完全プログラムによる最初の公演はヨーロッパではなく、日本の早稲田大学大隈講堂で73年10月26日に行なわれている。この年、彼らのために作曲された最初のオリジナル作品であるボリス・ブラッヒャーの《ブルース、エスパニョーラ、ルンバ・フィルハーモニカ》は、ここで初演され、世界に羽ばたいていった。
 「12人」は音楽外交使節としても大きく貢献してきた。ヴァイツゼッカー西ドイツ大統領(当時)の公式訪問に幾度か同行したほか、当時の東ドイツに招待された最初の西ベルリンの楽団でもあり、ドイツ統一や世界平和に寄与している。ベルリンの壁崩壊直後の1990年、ヴァイツゼッカー大統領より天皇陛下への皇位継承のお祝いとして遣わされ御前演奏を行ない、1996年には神戸において阪神淡路大震災チャリティコンサートを行なうなど、日本とドイツとの親善大使として大きな役割を果たしている。
 録音にも早くから積極的で、1970年代にはドイツのBASFおよびテレフンケン(現ワーナー)に録音し、その後ドイツ・グラモフォンにも録音を残している。  
 1992年、日本のファンハウスから発売された三枝成彰編曲のCD「悲しみのビートルズ」、続く1994年の「泣きたいだけ泣いてごらん~日本の歌」は空前のヒット・アルバムとなった。
 2000年より新たなCDシリーズがEMIクラシックス(現ワーナー)でスタートし、第1弾となったヴィラ=ロボス、ピアソラ、サルガンなどの作品を集めた〈South American Getaway〉(邦題 :「 ブラジル風バッハ」)は、権威あるドイツの「エコー・クラシック」賞を受賞。ジャズ・テイストの作品を集めた第2弾〈'Round Midnight〉(邦題 : 「ムーンライト・セレナーデ」)、映画音楽を集めた第3弾〈As Time Goes By...〉(邦題 :「 時の過ぎるまま」)がリリースされ、後者は再度「エコー・クラシック」賞を受賞。第4弾〈Angel Dances〉(邦題 : 「天使のミロンガ」は2007年グラミー賞(最優秀室内楽演奏部門)にノミネートされた。
 「ベルリンフィル12人のチェリストたち」は、カラヤンからアバド、そしてラトルへというベルリン・フィル歴代の指揮者の移り変りとともに、世代交代を経験しながらさらに磨きがかかり、光り輝き続けている。


[現メンバー]
ルートヴィヒ・クヴァント(ベルリン・フィル 第1ソロ・チェロ奏者)
ブリュノ・ドルプレール(同上)
オラフ・マニンガー(ソロ・チェロ奏者)
マルティン・レール(同上)
クリストフ・イーゲルブリンク
クヌート・ヴェーバー
ソレーヌ・ケルマレック
シュテファン・コンツ
ディートマー・シュヴァルケ
リヒャルト・ドゥーフェン
レイチェル・ヘリョアー
マルティン・メンキング
ダーヴィット・リニカー
ニコラウス・レーミッシュ